F-1その他のレースの話題

2010年5月30日 (日)

誰も喜んでいないトップ3-F1トルコGP

今年のF1は非常に面白いと評判です。話題となっているのは、2人のワールドチャンピョンを抱えるマクラーレン、今年はチャンピョンを狙えるところまで来ているレッドブル、そしてアロンソを迎えたフェラーリ、さらには復帰した帝王シューマッハを抱えるブラウン改めメルセデスの4チームだったわけですが、ヨーロッパラウンド第1戦トルコGPまできたときは、話題の中心はレッドブルの圧倒的な速さと、ベッテル、ウェーバーのチームメート同士の争いでした。

その二人がフロントローからスタートしたレースは、マクラーレンのルイス・ハミルトンとジェンソン・バトンの二人をからめて非常に面白い展開となっていました。しかし、43週目で、明らかにペースが速くなっていた2位のセバスチャン・ベッテルがトップのマーク・ウェーバーを追い抜こうとして、両者が接触し、ベッテルが右後輪をバースト、リタイヤを喫し、ウェーバーも3位におちたところで、レースはマクラーレンの二人のものとなって終わりました。

ところが、ハミルトンもバトンも1位、2位をとったにもかかわらず、たいして喜んでいるようにみえません。ウェーバーが沈んでいるのはわかるとしても、表彰台にならんだ3人がだれもうれしそうでないというところに、このスポーツの本質的部分が垣間見えました。

マクラーレンの2人はやはりレッドブルとのマシンとの差がまだあることを、レース中に感じていたのでしょう。二人ともワールドチャンピョンですから、棚から牡丹餅的な勝利には、喜ぶよりも、次のレースでさらに彼我の差を詰めないと勝利はないなと感じたのではないでしょうか。また、レッドブルが事故を起こしてから、前にいったルイスとジェンソン二人がレースをした場面もあり、それはそれでよかったのですが、燃料セーブのため、巡航スピード維持となってしまったことも、ドライバー個人としては残念に思っていたのでしょう、お互いに。

しかし、ルイスとジェンソンが表彰台に上がる前に、マークの前でベッテルとマークとの接触事故のことを話したのは、その会話ががっくりしているマークにさらなるプレッシャーをかけることを意図していたとしたら、たいしたチームプレーですが、多分そうではないのでしょう。このスポーツは、巨大なパワーをもつマシンと6Gを超える力をコントロールしながら、時に320km以上のスピードで走る中、常に冷静な状況判断を要求されます。そのような極限状況で鍛えられた彼らは、どういう精神的プレッシャーにも耐えるタフネスが身に付いているし、そうでなければF1というモンスター・マシンをくくれないのです。

さらにウェーバーに接触されたと一見見えたベッテルは、車を降りて、右手で頭を指差しクルクルまわし、ウェーバーが気が狂っていると非難しているジェスチャーをしましたが、チームスイートに変えるころには、興奮している記者やチームをなだめているのでした。20歳そこそこの若者のこのクールさには、うなりました。昨年、鈴鹿で決勝レース前にもみくちゃにされながら鏡開きのセレモニーをこなし、レースでは圧倒的な速さで優勝したこの若者には、いつもながら驚かされます。

彼らのように常にクールで判断できたら、と血の気の多い私は自分の日常を思い出し、反省します。さらに、チームに対する信頼がなければとてもできないこのスポーツの特質を思いながら、自分の事務所がそこにどれくらい近づいているのかにも、思いをはせます。我々の仕事は時に何十億、何百億という金銭を動かし、最先端の法律問題を扱います。チームワークなしでは、とても最高のサービスを提供できません。F1は自分にとっては、自分の仕事の振り返りでもあり、これが私がF1に魅せられているひとつの理由なのだな、とまた今夜納得しました。

2009年10月 5日 (月)

日本GP決勝は見ごたえのある戦いだった

TOSHI先生が書き込みをされてヘビーなレポートを期待するということですので、あつかましくも書かせていただきます。

日本GPはベッテルの優勝で終わりました。45週目にトロ・ロッソのアルグエルスアリが130Rでクラッシュしてイェロー・フラッグがでて、ベッテルの10秒以上のマージンは打ち消される事態となりましたが、ベッテルの速さは他のマシーンを圧倒しており、イェロー・フラッグ解除後残り4週で2位のトヨタのヤルノ・トゥルーリに4秒のマージンをつけて圧勝しました。ベッテルは終始速く、素晴らしい走りでした。

グリッド2番手で発進したトゥルーリは、期待にこたえ良くやってくれました。スタートのときに3位ハミルトンに抜かれ、その後の周回は明らかにハミルトンのほうが速く差をつけられ始めたのですが、ハミルトンのタイヤがたれたのでしょうか、ハミルトンのタイムが伸び悩み始め、少しづつですが追いついていきました。ハミルトン2回目のピットストップの間にさらにマージンをつめて、その後のトゥルーリの2回目のピットストップ発進後に抜き返すことができました。これはハミルトンの2回目のピット後のハプニングと、トゥルーリの2回目のピットワークのよさがもたらした結果です。

ハミルトンの2回目のピット終了後、明らかにピットレーン出口に向かうときにエンジンのミスファイアが発生し、タイムロスをしていました。私はマクラーレンのピットの斜め上から見ていました。ピット作業を終了して出て行ったハミルトンのエンジンが出口信号前で異音を発してあまり音がしなくなったときに、エンジンが止まったかと思いましたが、出口をでて50mもいったところで再びパワーが戻って出て行きました。彼も少しあせったでしょう。

おそらく、トゥルーリのピットではこの様子をみていたと思います。2回目のピット作業はすばやかったです。彼がピットレーンから出て行ってハミルトンの前に出たときは、たくさんの拍手がわきました。音でほとんど聞こえませんでしたが(笑)。トヨタさん、本当におめでとうございます。次回ブラジルないし次々回アブダビでは、ポーディアムの中央にぜひ立ってください。

ところで、チャンピョンのベッテルは、決勝開始前の午前11時30分から行われたパドッククラブの鏡割りに突然現れました。パドッククラブのお客さんは大喜びだったけど、決勝前、緊張感も高まってきているときに、仕事とはいえ前にでてもみくちゃにされて、それでも優勝を素晴らしいレース運びでうばっていくなんで、なんてすごい若者なんでしょうか。この冷静さは天性のものなのか、後から身につけたものなのか。

しかし、鈴鹿のメインスタンドにあんなに空席があるのはF1でははじめてではないでしょうか。シケイン後の高く増設されたコーナー席も下のほうは空席だらけ、また、第一コーナーをでたところのスタンドにも空席がありました。私にとってははじめての光景です。やはり景気の悪さは深刻です。鈴鹿のタクシーの運転手さんは2006年に比べると6~7割という感じと語っていました。

また、中嶋選手は残念な結果でしたが、もし中嶋選手が今シーズンもっといい成績で鈴鹿にこれたら、もう少しお客さんがきたのではないかと思いますし、ホンダが参戦していれば、もっとGPは盛り上がっていたと思います。経済を一刻も早く回復基調の軌道にのせ、ホンダを呼び返して、トヨタ・ホンダがまた競い合うような環境を早く作りたいものです。

そして、佐藤琢磨のような素晴らしい活躍ができる日本人選手がやはりほしいものです。その琢磨君はGP期間中いろいろなイベントで元気な顔をみせてくれていましたが、パドッククラブのモビリティランド(鈴鹿サーキット運営主体)のスイートではトークショーを行いました。もう一度F1のシートに戻りたいという彼の言葉に、皆さんが力強く拍手でそのサポートの意思を伝えていました。他のショーでもきっとそうだったと思いますが、ほんとに彼がどこかのチームにシートを獲得できることを心底願うものです。それとSGTやFポンで走っている若手ドライバーたち、ぜひ奮起して世界を目指してほしいものですね。

2009年10月 3日 (土)

日本GP速報

今日の鈴鹿は朝から晴れ渡り、プラクティス・ランの時から観戦日和となりました。

母国グランプリで注目された中嶋一貴選手は、プラクティスの時には最初上位5位以内のタイムもだして期待させましたが、昨日の雨で各選手はプラクティスの時は押さえ気味だった他の選手が序序にスピードが乗るにつれ後退、予選はQ1で17位でノックアウトされてしまいました。

プラクティスの時も感じていたのですが、ストレートの伸びが明らかに他の選手よりも悪く、ちょっとかわいそうでした。

やはりベッテルがはやく予選1位でした。2位はうれしいことにトゥルーリ、トヨタ、フロントロウ獲得です。3位はやはりはやかったハミルトンでした。ベッテルとハミルトンはプラクティスのときからとてもはやく、このふたりがポールを争うと思っていましたが、ヤルノは本当に頑張った!

それにしても事故がおおかったです。デグナーをでたところ、バックストレート、シケインをでたところなどいろいろな場所で4台がクラッシュ。明日のレースも荒れるかもしれません。スタート直後の第1コーナーがやまば。そのあとのS字からダンロップコーナー、デグナーに続くところで確実に差がつくと思います。

明日の決勝が楽しみです。以上、フラッシュレポートでした。

2009年10月 1日 (木)

損失補填等の禁止の不明確さは鈴鹿への興奮でひとまず棚上げ

本日はあるクライアントのために金融商品取引法上の損失補填等の禁止に関するメモを仕上げましたが、この規定は以外に分かりにくい規定で、民法理論との整理がきちっとしていないと思いました。そこでそれについて、備忘として書こうと思いました。

ところが、オートスポーツのウェッブサイトで、フェルナンド・アロンソのフェラーリ正式加盟のニュースと鈴鹿の準備状況をみてから、そわそわそわそわ。

すでに私はどうも興奮状態に入っております。そうです。明日から2009年F1日本GPが開催されます。TOSHI先生、すみません、私は明日、鈴鹿にむけたちます。(「ビジネス法務の部屋」の出版、おめでとうございます!)

というわけで、とてもまじめなことがかけそうにありません。社外監査役研究会の次のテーマについての資料に目をとおしてもすでに頭に入りません。

ε-( ̄ヘ ̄)┌ ダミダコリャ…という状態です。

当ブログの堅い記事をご覧の皆様、申し訳ございません。ちょっと鈴鹿にいってまいります。

当ブログのF1その他レース関係記事をご覧の皆様、レースレポートを楽しみにしてください。

2009年9月14日 (月)

祝 ARTA NSXのスーパーGT第7戦富士優勝!

いつも堅い話題ばかりのこのブログに、久々のレースネタを。

ARTAのNSX(ドライバー:ラルフ・ファーマン/伊沢哲也組)が、昨日富士スピードウェイで開催された世界最速の箱物レース、スーパーGT第7戦のS500クラスで、予選12位から11台をぶち抜いて、見事優勝しました!

前戦の鈴鹿では、NSXはリア・タイヤがバーストして破片がオイル管を破り漏れたオイルが摩擦熱て引火して炎上し、エンジン交換を余儀なくされたため、この日は10番グリッド降格のペナルティーをくらっていたので、予選で2番目のタイムを記録しながらも12番スタートという厳しい状況でした。

モービルのMさんが、うれしそうに「前回は、うちのオイルがほんまに良く燃えたんですよ!」と、レースがあと数周残っているうちに一人で勝利の祝勝会をビールではじめてましたが、レースは最後までわからぬと思いつつ、わくわくしながらチェッカーをまちました。NSXがチェッカーを通過したときは、チームのメインスポンサーのオートバックスの社長さんも、他の大勢のスタッフたちとピットとコースを仕切っている金網に張り付いて、旗を目一杯ふって祝福してました。

オートバックスのレース担当M氏、レース前に曰く、「今や、いよいよ火がついて、チームもここで踏ん張って総合優勝をあきらめずにがんばってます。いや、ほんまに火がついてしまったけれど、今回はグリッド降格だけどタイムはいいので結構いけると思います。」と割と自信に満ちたお言葉。レースが終わってみて、破顔でひとこと「たまには車焼けるのもええのかも」と私がふると、「夕べ、スタッフ集めて焼肉食わせて頼むでー、といったんですわ!焼肉、きいたな~。」と、いかにも、もともと大阪の会社ののりで会話も楽しい。

チームスィートで、決勝前に社長さんと鈴木亜久里さんと3人で話していたところ、いきなり社長さんが、「今回はしっかりたのむで。Garaiya(注:S300クラスの車)、毎年2位はかないまへんで。」というと亜久里さんも「大丈夫です。今回はがんばります。」と力強く語っていたのですが、この時点では、我々も12位のNSXはラップは早いけれど6位以内狙いくらいの感じだったのです。むしろ、過去6戦の得点でS300クラスのトップを走るGaraiyaの3位以内入賞がいけると思っていたのですが。

ところがラルフの速いこと速いこと!伊沢君も落ち着いたドライビング、しかもあの脇坂寿一の運転する36号車ペトロナスSC430にピット後のアウトラップで抜かれて首位をもっていかれたのを、数週後にきれいにダンロップコーナーで抜き返したのは、ほんとに見事でした。

一方、Garaiyaはいつものとおり、新田・高木組のいい感じのドライビングで、ラップから見て、予選6位からあがっていくと思っていたのですが、3週目の第1コーナーで26号車ポルシェに追突され、スピンしてコースアウト。18位に落ちてしまいましたが、その後持ち前の粘りで7位でフィニッシュ。残念でしたが、新田さん、高木さんが目一杯がんばってくれました。ほんと、お疲れ様でした。

富士から帰宅して、夜9時からはF1のイタリアGPモンツァでルーベンス・バリチェロの今シーズン2勝目を目撃。チームメートのジェンソン・バトンが2位でフィニッシュ。チームが存続できるかどうか、シーズン前に危ぶまれたチームと二人のドライバー、バトンとバリチェロが、世界ランキング1位を争っているなんで、生き残る者こそチャンスをつかめる、人生何があるかわからないが生き残らなきゃ、という実例をまざまざと見せ付けてくれています。

レース漬けの一日となりました。大満足です。

2009年2月 9日 (月)

今宮純分析:佐藤琢磨が選ばれなかった理由

F1ジャーナリストの今宮純さんが、「なぜトロロッソは佐藤琢磨を選択しなかったのか? その理由とは…。」という記事を書いているのを見つけました。

非常に冷静な分析です。やはり私と同じように、ニコラ・ドッドが動いてひっぱてきた可能性のある取引が記載されています。これが現実なのですね。

でも、私が感動するのは、やはり最後の部分です。

「日本最強ドライバーをこれ以上ひとりのまま放って置いてはいけない。日本スポーツ・パワーの衰退になりかねない。」

そうだよ!そうなんだよ!と、本当に思います。「あ~、デービット・リチャーズあたりが気が変わってHRF1買って、ニック・フライを追い出して、またバトン、琢磨で走らせてくれたらなぁ」、などと、絶対おきない夢をみたりして。。。今なら琢磨君は技量的にバトンを上回っていると思うのですが。

バトンも、道端ジェシカとロンドンでデートしている場合ではなかろうと思うんだけど。それにしてもHRF1の命運はどうなるのでしょうか?

2009年2月 7日 (土)

佐藤琢磨と夢見たトロロッソのシート

佐藤琢磨君が、トロロッソのシート争いで敗れました。先シーズン、正ドライバーだったセバスチャン・ブルデーが引き続き乗ることになったわけです。

琢磨君が今回シートを獲得できれば、それは日本人選手が初めてF1ドライバーとしてあのクラブのような世界で認められたということを意味する快挙になると考えていました。琢磨君も、もともとホンダの強い押しでジョーダン、BAR、スーパーアグリと乗り継いできていたので、日本メーカーの保護のもとでシートが獲得できたのだといわれ続けていました。これは、今、ウィリアムスで走っている中島一貴選手にも言われていることで、彼の場合は、トヨタの育成ドライバーでウィリアムスがトヨタからエンジン供給を受けているという関係にあることから、そう評価されております。

両選手ともそんなことを言われる必要はない立派な実力のあるドライバーであると確信しておりますが、彼らと同等あるいはそれに近いレベルの実力のあるドライバーで強力なスポンサーがついていない者や、そのマネージャーがたくさんいるヨーロッパでは、とかく揶揄されやすいのが日本人選手であり、魑魅魍魎の住むF1ワールドでのいわば日本人ドライバーに対する偏見を打ち破るには、実力を見せつけるしかないわけであります。琢磨君がトロロッソにシートを得られれば、ひも付きでない実力でシートを勝ち取ったということになるわけで、それだけに私は、もし実現できれば、BARでインディアナポリスで3位に入賞したことと同じぐらいの快挙になると考えておりました。日本生まれ、日本育ちで米国でアメリカン・ロイヤーとして11年戦った経験のある私としては、自分の体験からも、何とか琢磨君には、誰もがうなづく実力のみの評価でシートを獲得してもらいたい、と強く願っておりました。

ブルデーがトロロッソが要求していた10億円のスポンサー持ち込みはできないと早々と宣言し、テストにおいてすべて琢磨君より遅く、トロロッソチーム内部では琢磨君が示した実力に対する高い評価が伝えられていたのに、ブルデーがシートを勝ち取った事情はあきらかではありません(もちろんブルデーもドライバーとして一流であり、立派な選手です)。しかし、彼のマネージャーは、フェラーリの大ボスだったジャン・トッドの息子ニコラ・トッドであります。トロ・ロッソがエンジン供給をフェラーリから受けていることを考えると、息子を通じてなんらかの取引、あるいは何か金銭的にチームが有利になるような取引がなされたのではないかという推測をすることも、あながち不合理ではありません。

しかしながら、たとえそういう取引があったとしても、それがF1という世界であり、それができなければ生き残れないという現実を受け止めなければなりません。チーム運営に巨額の費用がかかることを考えれば、チームマネジメントがさまざまな要素を考慮して決めることを一概に非難することは難しいと思います。特にいくつかのチームの存立さえ危ぶまれる今日の状況においては、誰もが全戦でグリッドからスタートさせることを第一に考えるでしょう。

私の携帯の待受は、琢磨君が乗ったトロロッソの雄姿でした。琢磨君と同じ夢を見つつけたこの5ヶ月、この待受をみながら、今年10月に鈴鹿を駆け抜ける琢磨君の姿を想像しておりました。彼の日本人F1ドライバーとしての偉業(特に、鈴木亜久里さんと並ぶ日本人2度目の3位、スーパーアグリにおけるアロンソをぶち抜いて達成したカナダGPの6位、スペインGP8位)を誇りに思いつつ、彼がさらにF1において活躍できることを願ってやみません。

2008年12月 5日 (金)

ホンダF1撤退に、空を眺めて涙をこらえる

500億円という年間チーム予算がとても合理化できない、ということなのでしょう。ホンダがF1撤退を決定しました。経済環境の激変といえば、それはそうなのですが、大きくなった会社に機関投資家やファンドの目は厳しく、3年くらいさきの将来の収益予測をベースに考えればとても合理化できないということなのでしょう。投資家に説明がつかない、これが現在の決断の背景でしょう。経営陣は根性なし、とけなしてしまえばそれまでですが、そう話は単純ではなさそうです。こんな環境でも、ROE10%の要求という強欲なファンドがいっぱい存続するかぎり、経営陣は後ろ向きにならざるを得ないという側面が否定しきれません。そんな要求の内容を投資対象企業にばらまくファンドもあるのです。

トヨタが参戦する前は、日本の多くのファンにとってF1といえばホンダでした。スーパーアグリの撤退をつらい思いで聞いた多くの日本のF1ファンたちにとって、この撤退のニュースは打ちのめされる思いでしょう。私もかなりきています。スーパーアグリのほうがつらかったですが。亜久里さんのただただ前向きな姿勢が、スーパーアグリの撤退をさわやかな思い出に変えましたが、今回のホンダの決定はただただ苦いだけです。

たしかにHRF1は大きな問題をかかえていたと思います。エアロをバイクと同じと見誤った開発の失敗、英国化されたチームとホンダ本社との思惑のいきちがい、ニック・フライを頂点とする官僚の突出、バリチェロという高い買い物と佐藤琢磨の能力の評価ミス、などなど、あげたらきりがありません。しかし、それ以上に、現在の全世界の今後の売上予測を、100年に一度の大不況、金融マーケットの混乱を前に、冷静に見積もれば500億もつかってられないほど深刻だったということでしょう。

他のチームにとっても対岸の火事ではありません。フェラーリなどは、もっともこの不況で影響を受けます。レースを続けていくにしても、FIATの現状では撤退があっても不思議ではありません。バーニー・エクレストンも欲をこえている場合ではないのです。彼は今でもF1開催をしたいと持っている国などいくらでもあると思っているようですが、そんな国はいくつのこっているか、冷静に考えたほうがいいです。もう年なんだから、別れる奥さんにいくら渡すのはいやだ、なんていっていないで、F1をどう残すのかに残る余生をささげてほしいです。そうすれば彼は永遠に記憶されるF1の功績者となるでしょう。今ならば、F1を金儲けのすばらしい道具にしたてたというレベルでしか記憶されません。

ホンダの撤退はあらためてモータースポーツが存続しうる環境を知らしめました。しかし、モータースポーツの真髄に触れた者はその魔力に勝てるわけもありません。スピード、冷徹、激高、興奮、強欲、戦略、熱狂、戦術、最新技術、信頼、友情、憎しみ.....人間社会のすべてをぎゅっと凝縮して飲み込み、華やかな2時間のドラマにしたててF1はなりたってきたのです。我々を捉えてはなさない魅力は、予算が小さくなろうが、規模が小さくなろうが、おろかなアイデア(ワンメイクのエンジンとか)をとらなければ、きっと生き続けられるにちがいありません。ですから、F1よ、生き続けろ、と祈らずにはおれません。

さらにバトンが放出されたら、今、琢磨君が進めているトロロッソのシートのオッズも変わってくるのではないかと心配になります。バトンにうらみはございませんが、私としては絶対に琢磨君にシートをとってもらいたい、彼のあの成長した走りをトロロッソで見たい、そして表彰台にのぼる彼がみたい、という思いでいっぱいなだけに、不安になる展開であります。今年のストーブリーグはまったく目がはなせなくなりました。

2008年10月13日 (月)

日本GPにみるレピュテーション・リスクの回復の難しさ

本日、日本GPからゆっくりと帰ってまいりました。アロンソというドライバーの偉大さを非常に感じた一戦でした。それとともに、ハミルトンの第一コーナーの飛び込みの強引さに若さを感じました。

ところで、決勝前にINGルノーのパドッククラブから出てきたアロンソとちょうどばったりとあってしまいました。家内は目があったとたん、ぱちぱちと拍手をしだし、それにあわせて足早に歩くアロンソもぱちぱちと拍手をしだしました。私も拍手をしだしましたが、アロンソはあっという間にピットに繋がる階段へと去っていきました。1mの近距離からみたアロンソは本当にカッコよくて、風格さえ漂わせており、オーラで光輝いておりました。

さて、決勝が始まる前のメインスタンドをみて、がっかりしたのは、そこかしこに大きな空席が目立ったことであります。よくみると、第一コーナーのところにあるC1C2も満席ではありません。かつて日本GPでメインスタンドや第一コーナーに空席エリアがあるということなど見たことがありません。TV中継で見る限り、他のエリアでも空席が目立ったように思います。ヘアピンの自由席もずいぶんとゆとりがありました。

昨年度の運営については、ファンとマスコミから厳しい批判にあった富士スピードウェイでした。そのために20億円を投じて改修を行い、運営はきわめてスムースに終わったのですが、いかんせん、去年、会場でしんどい目にあったファンの一部は見放してしまったようです。関係者のご努力には敬意を表したいほど、立派なGPでしたが、一度傷ついた名声を回復することは、業種の如何をとわずいかに難しいことかとしみじみ思いました。

しかし、再来年にはぜひ満杯のGPにしたいものです。やはり、満席の日本GPが私は好きです。皆さん、来年の鈴鹿のあとの再来年は富士でお会いましょう!

2008年9月 7日 (日)

スパ・フランコルシャンのドラマ

F-1のスパ・フランコルシャンのレースが終了しました。やはり伝統のスパ・ウェザーのせいで意外性のある幕切れとなりましたね。

予選4位と出遅れたフェラーリのキミ・ライコネンが2周目までマクラーレンのルイス・ハミルトンを抜いてトップにたって、ぐんぐん差をつけて、一時は6秒以上の差になったのに、最後の給油後はルイスにどんどんつめられていって、ラスト3周目となったとき、あの気まぐれなスパの空から水滴が落ちてきたときに最後のドラマが用意されていました。

ルイスがもう少しでオーバーテイクしそうになったのを、キミは最後のシケインで見事にルイスをプッシュアウトしました。外に押し出されシケインをショートカットしたルイスがホームストレッチで先行したため、一度先頭をキミに譲ったかのように見えました。しかし、キミの挙動が乱れたところをルイスは抜いていき、残り2周の周回にはいっていきました。

しかし、周回にはいってまもなく、おそらく雨のせいでコースアウトしたニコ・ロズベルグがコースに戻ろうとしてはいってきたのをルイスがよけようとして、その間隙をぬってまたキミが抜いていくというすざまじい展開。ルイスが大きく遅れたので、これはキミがいただきだ、と思った瞬間にスピン!あえなくスピンして左のウォールにノーズをあててリタイヤ。ルイスはそのまま雨のなか、滑る車をなんとか操作しながらチェッカー・フラッグをうけるという本当にドラマチックな展開でした。

いつも思うのですが、ルイスは非常に攻撃的ですね。直線でキミにポジションを返したのかどうかは本当に微妙だと思います。キミの挙動が乱れたのは、ルイスがポジションをちゃんと返さないままに車をキミのほうにすこし振ったためのように見えたのですが、現在、これを審議中というわけで、結果がどうなるか注目されます。もしルイスが失格になったらフェラーリのフェリペ・マッサが優勝になり、俄然有利になります。

これだからF-1はやめられません。