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2011年4月 1日 (金)

民間資金を復興のために使うアイデアは何かないか?

地震からの復興について議論が始まっていますが、政府関係者が議論しているのはいずれも国庫からの出費のスキームであります。20兆円を超えるかもしれない復興資金を国や地方自治体が負担することを考えるのは、順序としてはそのとおりかもしれません。しかしこの国の財政赤字を考えれば、全額を国庫負担することでは財政破綻を避けることができないように思います。震災復興国債も国の借金であることに変りはありません。地震前から落ちてきた税収を増税で増やしても限度があり、非常に難しい問題です。

さらに、被災された方々や企業の規模を考えると、さまざまなスキームを打ち出していかなければなりません。個人に対して復興資金を供与することから始まり、打撃を被った企業に対する復興資金の提供を企業規模に応じて細かく考える必要があるように思います。

大企業については、社債や場合によっては公募増資による資金調達も考えれます。また、銀行がローンで資金需要をまかなっていくことも可能でしょう。しかし、銀行も非常時とはいえ、バーゼルIIIの縛りがあり、貸出の健全性管理を長期間緩めるということはできないでしょう。銀行も困難な状況にある取引先を助けたい気持ちはとてもあると思いますが、全ての規模の会社、かつ壊滅的被害をうけた会社にローンを出すことはできず、そこには限界があります。

さらに、今回の地震で大打撃をうけている中小企業、特に製造業関係、水産関係、農業関係、物流関係の中小の企業に対するサポートとなると、都市銀行、地方銀行、信用金庫、信用組合、農協、郵政が提供する資金には非常な限度があるように思います。たしかに、地方銀行の増資、信金や農協に対する信金バンクや農林中央金庫からの資金提供は現に行われているところですが、これからくるなにもかもなくしてしまった方々へ、資本規制がかかっている金融機関等が貸出すことには限度があります、他方、サプライチェーンの一環をなす中小企業、さらにはその下にある零細企業に対する支援なしに、日本が復興することはありえないと思います。

ではどうやったら資金が回るのか?野村證券が災害復興の投資信託を500億円程度募集して、社債等への投資を行うことにより復興資金の提供を支援するという記事が数日前の日経にでておりました。これは優れたアイデアであると思いますが、公募投信ですとどうしても規模が比較的大きな上場企業への投資しかできないでしょう。水産業のように小企業や零細業者に支えられている業種では、船も網も水産加工工場もすべてなくしてしまった方にも支援をしないといけません。どうしららいいのでしょうか。

私もない知恵を絞っています。思いつきを並べます。

一つは、製造業・水産・農業・物流関係の上場会社を通じた復興支援金供与です。これは上場会社が社債等で調達した金銭を、取引のあったところへのグループバンキングで低利かつ長期に貸し出す方法です。しかし、ネックは壊滅的打撃をうけたところに若干の投資をしてグループ化し、さらにそこに資金を貸し付けるということに、どれくらい経営陣がたえられるかです。リスクは大きいのですが、そのリスクをどの程度合理的とみるか、株主からみても納得できるかが重しになります。長期投資ですから、腹の据わった経営陣が、「今共存なければ我が社の発展の道なし」とどんと構えなければなりません。しかも取引先であったところですから、資金提供後情報の取得ははるかに容易で、物心両面の支援も可能です。また、このタイプには投資信託からの上場会社の社債等への投資との組み合わせが使えます。

二つ目は、ベンチャーキャピタルのような発想で私募ファンドを設定し小規模業者へ直接資金援助できないかです。報道をみているとこの大災害による甚大な被害にあっても、水産業は絶対に捨てないとすでに一から活動を始めている漁業関係者がいるようです。農業については福島第一原発による放射能の汚染が懸念される地域については容易でないと思いますが、そうでない地域の農業の復活への動きをはじめているところもでてきているようです。これらの方々は、長年蓄積されているノウハウもあり復活への意欲は非常に高いわけですが、既存の設備に大打撃を被っているわけで、こういう方々の復興資金需要に直接答える私募ファンドの設定を数多くできないかという発想です。この投資はハイリスクでリターンも最初のことはなしですが、経営の現代化・経営資源集約も一挙に行い災いを福となすというコンセプトで、長期の投資を求めるものとなります。正体がつかないネット企業にあれだけの資金を投資した投資家がいるわけですが、リターンがあまり期待できないかもしれませんので、平時は設定は無理です。今だからこそ設定できる、あるいは今しか設定できないファンドなのではないかと思います。

三番目は公募投信と二番目の組み合わせです。大きなマザーファンドを公募投信として設定し、そのマザーファンドから、いくつもある私募の災害救済支援ファンドに投資するというスキームです。これは、民間の金を大きく集め、その資金を効率よく配分していくことに資すると思います。これも今だからこそ設定できる、あるいは今しか設定できないマザーファンドです。

国難の時、金融関係者の知恵が求められています。よいお考えがあったらぜひお聞かせいただきたいものです。

【4月1日午後6時追記】

考えてみると日本は1500兆円の金融資産をもっているわけですから、復興費用はその1.5%程度なのです。30兆円かかっても2%です。そうすると国民一人が自分の金融資産の2%を第三に指摘したマザーファンドに投資してくれれば、相当な規模の金を集めることができます。投資にインセンティブをつけるため、配当がもし出た時でもファンドの設定期間中は課税しないことにする、一口の出資額を通常の1万円ではなく5000円にして小さい子供でも投資できるようにする、もし損失がでたときは投資損としての通算を認めるといった優遇策をとれば、国民はよろこんで投資してくれるのではないでしょうか。

次に私募ファンドについては、投資対象となる地域産業について知見がないといけません。そこで、県レベルが設定主体になり、そのファンドの運用についてはプロに委託して任せてはどうでしょうか。あるいは設定者は投資信託委託会社として、県レベルで各地域の実情をしる復興アドバイザーを助言者として選任すれば、さらに効率的投資が可能でしょう。プロに対する運用報酬にはやはり課税上のインセンティブをつけて、報酬料率が低くても収益がちゃんと上がる仕組みをとり、さらには成功報酬も認めてやったらどうでしょう。こうすれば運用ガイドラインづくりにも、各地域差が反映できますし、運用を任される人も復興に強い意欲とヒューマンキャピタルを糾合できそうな中小企業群を選ぶことができるのではないでしょうか。

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