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2011年4月13日 (水)

産業の復興はスピードと大胆さが大事

阪神・淡路大震災に関する林敏彦さんの資料にはたくさんのことを教えられますが、今日は復興資金16兆3,000億円がどの年度にどれくらい使われたかの棒グラフから考えてみたいと思います。

林さんの資料によると、震災が起きた年である1994年が約1兆円、95年約5兆円、96年約2兆円、97年約1兆9,000億円と、最初の4年間に10兆円近くを投入しています。実に復興資金の65%にあたります。

阪神・淡路の復興ができたのは、最初の4年間の集中的な資金の投入があったからであることがこれで読み取れます。それでも、神戸港はアジアのハブ港としての地位を釜山港に奪われてしまいました。

東北の製造業の主力は自動車部品、半導体、ILS、精密部品という高付加価値部品です。これらの部品は日本だけでなく世界の製造業を支えていました。今、サプライチェーンが途切れたことで、日本の製造業は代替品の調達を韓国、台湾、その他の国に求めています。それだけでなく、全世界の自動車メーカーは、供給が途絶えた部品を他国のメーカーに代替させようとしています。

代替が進み固定化してしまうと、神戸港がアジアのハブ港の盟主から滑り落ちたように、東北の製造業の地位を守ることはできません。いち早く製造能力を復活させ、そこで働く人たちの雇用を守ることが、東北の復興にとってきわめて大きな意味を持ちます。

被災者の方々の生活を守るため、生活資金提供と被災者用住宅建設をいち早く推し進めることと、職場に復帰できるように製造拠点を早く回復させることは車の両輪のごとく進まなければなりません。被災者は働けるようになって生活の糧をまた自分で稼げるようになることで、生きる気力と明日への希望がもてるようになるでしょう。このことは水産業、食品加工業でも同じことです。

ところで、政府は年3兆円規模の危機対応融資を以下のとおり実行すると発表しています。

政策金融を活用した大震災
対策「第1弾」の主な内容
●危機対応策の拡充 …年3兆円規模に
低利融資融資金利を0.5%下げ。国費で利子補給
CP購入2000億円規模の購入枠を政投銀向けに設定へ
損害担保融資が焦げ付いた場合の損失の5~8割を国費で補填
●産業再生法認定企業への出資円滑化
損害担保政投銀による出資が焦げ付いた場合の損失の5~8割を国費で補填

これを見ますと、いずれも融資を引き出すための方策です。製造業でいえば第一次サプライヤー、第二次サプライヤーで比較的規模が大きいところには政策投資銀行や商工中金から融資という形で資金がでていきますが、規模が小さい中小企業には、はたしてどれくらい効果があるのかが疑問として残ります。

この点に関連して、阪神・淡路大震災の後の兵庫県の企業の震災関連倒産状況について、帝国データバンクがレポートを発表しています。それによれば震災の年の95年は全国平均に比べると倒産が少ないのに対して、翌年以後は全国平均を上回る二桁倒産が長く続いています。兵庫県内の企業は被災で大きなダメージを受けましたが、緊急融資で一時的に存続できたものの、翌年以後は復興資金の供給があっても倒産の増加は食い止められなかったというのが事実です。特に業種的にみて復興需要が期待された建設業ですら増加し続けたこと、従業員5人以下の零細企業が過半数を占めていること、地場産業である履物、繊維、食品業者が多いことが特徴で、事業規模、企業規模が小さい業種ほどダメージから逃れることが難しかったということです。

つまり、低利融資のカンフル剤はカンフル剤としかきかず、もとから体力の弱い中小零細業者は、一時的にもってもその後続けていくのが難しいということを、このデータは物語っています。

この過去の経験からいえば、融資のみでは限界があるということであり、サプライチェーンにある中小企業を守っていくためには、負債をふやさない資本注入も方法として必要であることを物語っているのではないでしょうか。私がベンチャーキャピタルのようなリスクマネーが必要だという趣旨は、そこにあります。リスクをとって大胆に出資するということを主要地場産業を中心に迅速に進めるべきではないかと思います。

政府は、復興構想会議でぼけた議論をして復興資金の投入のスピードを落としたり、細やかな手当ての検討をおろそかにしてはなりませんが、鈍感力が着物を着て歩いているような首相のもとでは非常に心もとない限りです。

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