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2011年4月17日 (日)

政府・マスコミは兵庫県弁護士会の緊急提言に耳を傾けよ!

私は司法修習を神戸で行いましたので、神戸には思い入れがあります。阪神・淡路大震災のときには、友人・知人がいっぱいいる神戸の被災をデトロイトで聞き、とても心配しました。その後数日たってニューヨーク出張の際に、紀伊国屋で震災して亡くなられた方のリストをずっとみて友人が含まれていないかを確認したことを思い出します。

今年から兵庫県弁護士会長になった笹野哲郎弁護士は、いっしょに神戸修習で釜の飯をともにした同じ年の友人です。彼も阪神・淡路大震災の被災者です。その兵庫県弁護士会が、『東日本大震災復旧・復興対策立法に対する緊急提言』を笹野会長名で緊急発表しています。

この提言は、自らも被災しながらも被災者救援のために無料法律相談を行い、その後長く被災者や被災企業のために尽力した兵庫県弁護士会会員の、実体験に基づいた極めて有用な意見で満ちております。政府はただちにこれを参考にすべきだし、マスコミももっと注目してしかるべきであると思います。

特に復興の理念について、「人間の復興」を第一とし、地域の復興・復旧のあり方については、被災地自治体が中心となり、かつ、被災者らの意思決定を尊重すべきであるとし、一刻も早い生活基盤の回復と正確な情報提供を迅速かつ十分にしなければならないと指摘してることは大切であると思います。まさに自ら被災したからこそ、その指摘には重みがあります。その後の具体的な提言はこの視点に貫かれておりますし、ヒューマニズムに満ちています。

いくつか、中小企業対策についてご紹介しましょう。提言は、災害救助法23条1項7号の「生業に必要な資金、器具、又は資料の給与又は貸与」を中小零細業者に適用すべきであると主張しています。「今回の災害では、中小零細事業者に対する給付を行う制度がほかにないため、何もかも失った農林漁業者は再起の意欲をもつことさえできない。こうした被災事業者らを救済し、早期の再起を促すべく、同規定を適用し、現金の給与を行うべきである。」として、零細事業者の救済に具体的に踏み込んでいます。

減税・免税措置の早期の被災者への適用や、復興財源確保のための課税等について被災者・被災地域は免除するという点は細やかです。雑損控除が生活再建資金になるなんて知りませんでしたね。この指摘もすばらしい。

住宅や事業資金について、被災後の二重ローン等の負担の免除・軽減に踏み込んでいます。特に金融機関の無税償却に言及したのは、貸し手の地域金融機関も痛んでいることを十分知った上での提言でしょう。金融庁の金融安定化法による資本注入と合わせれば、かなり実現可能であると思われます。代替的措置としての信用補完制度とあわせれば、被災者・被災企業救済に効果的であると思います。

魚業については公営化または準公営化というアイデアを出しています。これもいい案ですね。また、商工業者に対する救済にも触れています。漁業を復活させるのは、その関連業者の復活がないとだめということがわかっているからこその指摘であろうと思います。

貴重な提言であり、ひろく読まれて参照されるべきであると思います。

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