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2011年4月 2日 (土)

民間資金の活用と被災者・被災企業のニーズの合致は?

前回のエントリーでは民間資金をどのように集めそれをどのように配分するかを考えました。こんどは現場レベルから考えてみたいと思います。荒削りの思いつきですが、考えるきっかけになることを願って書いてみたいと思います。

被災地の現場では、大量のがれきを整理するところから再建が始まります。再生の意欲が高い経営者と従業員が一体となって復興にむけて頑張っているところが、いくつも報道されています。そういう中小企業も、大地震と津波に襲われる前には銀行や信用金庫、信用組合や農協、漁協から資金を借り入れていたと思われます。担保にとっている土地建物は津波などで失われました。底地は残っていますが、境界が動くなどしているかもしれず、その担保価値が大きく棄損されています。不動産に保険が掛けられている場合は、建物・土地の滅失により支払われるべき保険金請求権に抵当権の効力は及び、金融機関等は保険金請求権の差押・転付命令により貸付債権の回収ができます。しかし、金融機関等がすべて回収をはかったら中小企業の再建は不可能で、倒産処理する以外に道はなくなってしまいます。

被災者には一世帯に数百万円の復興支援金が給付されることになるようです。熱意ある経営者や従業員の中には、その復興支援金の一部をもちよって会社再建に使いたい方々がきっといるはずです。そういう方々を糾合して、そこにさらに資金を供給すれば、再建できるところもたくさんでてくるでしょう。また、経営者が亡くなってしまったが、従業員が生存していて、再建したいと考えているところもでてくるでしょう。既存の金融機関等の債権者との調整が必要になると同時に、復興資金が必要になります。

そこで、中小企業再生支援協議会のプラットホームを使うことが考えられます。既存の中小企業再生支援協議会をベースに「東日本中小企業震災復興再生支援機構」を10年の時限立法でつくり、そこに、リゾースを集中させ、復興のための診断と企業再生計画の支援、資金調達の支援を行わせるのです。

再生支援機構にきた被災企業は、まず被災状況の把握・説明と直近の事業報告書を提出(提出できないときは借入先の金融機関から取り寄せ)し、機構はそのまま再生ができるかどうかの初期診断を迅速にします。再生可能ならばすぐに再生計画の支援業務に移行します。再生不可能であるならば、破産処理等の処理をすすめ、金融機関の無税償却を支援します。こういう業務は弁護士なしでは無理なので、再生機構には各弁護士会が全面的に協力します。また再生支援機構には各金融機関からも金融のプロフェッショナルを派遣してもらいます。

そして、再生可能なところには、前回のエントリーで書いた震災復興公募投信であるマザーファンドから資金調達する地域の震災復興ファンドが出資してサポートしていきます。震災復興ファンドに金融機関に出資を求めるかどうかですが、なしでいくという考え方といくらか出資してらうという考え方があると思います。やはり少しは出資していただいたほうがいいでしょう。しかし、基本はマザーファンドからの出資で運用すべきでしょう。

仮に再生が無理だとしても、意欲ある経営者や従業員を生かすため、これらの方々を糾合した新会社を設立し、そこに経営者・従業員とファンドからの出資を集め、可能であれば銀行からの貸金を行い事業の再生をはかります。こういうメニューをそろえることで、すべてをなくした被災者に等しく希望を与えることができることになります。また、被災前にばらばらだったヒューマンキャピタルを糾合することも可能となります。

このスキームには、①地域の被災企業の実情に応じた迅速かつ柔軟な対応が可能、②国や地方自治体の行政の関与が限定されており、民間の力により効率的な再生業務が可能、③意欲ある被災者を資金がでないということだけで追い込まないような新会社設立等の手段が容易できること、④機構がはいることで、銀行等の金融機関もさらに余力のある範囲で貸金を行うことが可能になること、などの利点があると思います。

ところで「再生できるか」という判断は、これまでの事業再生の基準と根本的に発想を変える必要があります。経営者・従業員の意欲はこれまでになく高まっているが、設備や資本がない状態なのです。すべてをなくした人間のこれしかないという強い意欲に投資しましょう。通常の再生の基準をあてはめてはうまくいかないので、事業再生法の運用はフレキシブルに行うことが重要です。

事業再生ファンドには信用保証協会の保証がありますが、今回も同様な保証を求めていくか、保証協会で対応ができないところは、メガバンクの協力で保証をもらうということもあり得ます。

きわめて荒削りですが、意見を述べさせていただきました。金融と事業再生の知識経験、人材をフルに動員して日本を再生させましょう。コメントは大歓迎です。

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