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2011年3月15日 (火)

福島原発事故に関する科学的解説と混乱する報道

ニューヨークにいる友人が、下記のような福島原発事故に関する記事があると知らせてくれました。読んでも理解が難しいものですが、ご参考までにご紹介します。

【3月16日 お詫びと訂正
上記の記事のURLアドレスを示し、下記にはその記事の解説を書いてていましたがURLアドレスを削除しました。理由は、この記事の作者が原発推進派でアクティビストであることが判明したこと、したがって記事にはバイアスがかかっているおそれがあること、この記事ではメルトダウンがあっても安全に核連鎖反応をとめられるかのごとく書いているが、それは下記の第二の追伸にもあるとおり正確ではないこと、の三点にあります。科学的根拠に基づくべきというのは、科学者が書く記事であるならばいわずもがなであって、現実に進行している事態が上記記事の楽観的見方をすでに否定しているものです。不正確な記事をご紹介したことを皆様に深くお詫びします。なお、以下、訂正を入れます。】

本日午前10時13分の日経新聞の報道によると、爆発により2号機の格納容器の下にある圧力抑制室が破損したということです。核燃料を収納している圧力鍋の外側にあるのが格納容器があるというのが、このタイプの原発の構造のようです。爆発による圧力抑制室が破損し、穴があいている可能性があるということは、2番目の容器が壊れている蓋然性が高いということです。枝野官房長官も格納容器が壊れている蓋然性が高いと発言しています。

しかし、この記事によると、福島原発のタイプの圧力容器は完全なメルトダウンを内部で受け止める目的で設計されており、大きく厚いコンクリートのたらいが圧力容器の下に位置し、黒鉛で塗り固められており、メルトダウンを起こした核燃料を内部でキャッチする構造となっているとあります。

圧力容器のどこに壊れが生じたのかが報道ではまったくわかりませんが、この構造により、メルトダウンをした核燃料は黒鉛のコアキャッチャーの内側に付着し冷やされるということになります。上記の科学解説記事によれば、すでに制御棒を差し込まれた核燃料では、中性子が別のウラン原子に衝突してさらに中性子をつくるという核連鎖反応はとまっています。つまり、
①ウランが核分裂をおこしているときにセシウムやヨウ素同位体などの中間放射性生成物を作り、これが崩壊して放射能を出すのだが、制御棒により書く連鎖反応がとまったことにより、中間放射性生成物の生成はとまっている。
②残った中間放射性生成物は崩壊の過程で発熱をするが、新たな中間放射性生成物は生成されないからどんどん減っていくので、数日たてば核は冷温停止する
というのがこの科学的解説記事の内容となっています【訂正:この内容について②が正確でないことにつき、下記第二の追伸を読んでください。】

とすれば、今、問題なのは、発生している可能性のある亀裂からの中間放射性生成物やそれが崩壊の過程でだす放射線が漏れ出すことであって、それがどの程度の量でどの程度のレベルとなる可能性があるのかという話のはずです。セシウムやヨウ素が雨で流れる可能性についても、どうなのかという話もあるでしょう。

してみると、たとえば日経新聞の記者が書いているような再臨界など起こりようがないわけでして、一体どちらがほんとうなのか、まったくわからなくなってしまいます。訂正:再臨界の可能性が残ることは第二の追伸をご覧下さい。】

冷静かつ科学的な解説が必要に感じます。すべての関係者、特にマスコミの皆さんはよくよく考えて、わかりやすく、かつ科学的根拠に基づいて説明してもらいたいものです。

追伸(午後1時20分)

破損した圧力抑制室は格納容器そのものではなく、それにつながっているものであることが、読売新聞、朝日新聞の報道ではっきりしました。つながっている圧力抑制室の通常3気圧ある気圧が1気圧になっていることから、破損した可能性があると判断されているということです。

第二の追伸(午後4時10分)

メルトダウンが起きても制御棒が入れられて核分裂連鎖反応がとまっていれば、再臨界はおきないのではないかと疑問を書きましたが、そうとも言い切れないことを伊東乾さんのコラムで知りました。下記はそのコラムからの抜書きです。

『ポイントはすべて原理的でシンプルです。「比重の重いものは重力で下に沈んで集まる」「ウラン燃料が一定以上の『濃度』で集まると『臨界』などの核反応が起きてしまう」。この2つです。』

『もし比重の重いウランが溶け出して一定以上の密度で集中してしまうと、せっかく制御棒の間仕切りで邪魔した「核分裂連鎖反応」が再び起きてしまいます。これが「再臨界」で、何をおいてもこれを防がねばなりません。』

これを読んでまたわからなくなりました。つまり格納容器の底の分厚いコンクリート製で黒鉛でかためられている受け皿は、最後の砦として設計されているのであるから、メルトダウンがおこっても、核分裂連鎖反応がおこらないような、あるいは核分裂連鎖反応がおきる可能性を最低限にするような構造をもっているはず(そうでなければ目的は達せられない)。そこはどうなっているのか?
【追記:現状、この点の解説は発見できておりません。】

【3月17日追記:受け皿を含む格納容器は「コアキャッチャー」と呼ばれているのですが、その言葉でググると以下のような記事があるのを見つけました。

http://www.ekouhou.net/disp-ipc-G21C9,016.html

やはり、メルトダウンした核燃料を保持する技術には国際特許が成立しているものがいくつもあるようです。ただ、福島原発では何が使われているのかはいまのところ見つけ出していません。

また、福島原発から放出されたと思われる中間放射性生成物であるヨウ素131、セシウム134、137が検出されたという報道があります。

http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2011031600915

ヨウ素131の半減期は8日、ヨウ素131が崩壊する過程で放出される放射線も半分になります。ヨウ素131が体内に摂取されると甲状腺に蓄積される性質があり、大量に摂取すると癌を発症させる原因となります。http://www.med.nagasaki-u.ac.jp/interna_heal_j/a3.html

セシウム134は半減期が2年、これに対してセシウム137は半減期が30年ということなので、セシウムの量が多いと多量の放射線が長期にわたり放出されつづけるということになるようです。また、セシウム137は体内に摂取されると対外排出されるまで100日から200日かかるので、その量が多いと体内被曝の原因となり危険であるとの解説がなされています。http://cnic.jp/modules/radioactivity/index.php/12.html

ヨウ素やセシウムにしても、どの程度の放射線の量がでているのかが、問題であるということですね。】

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