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2011年3月21日 (月)

福島原発事故にかいまみる「職業倫理とは?」

大前研一さんが解説する福島原発の対策、今後の対応、国の政策を解説したYoutubeが話題になりつつあります。

http://www.youtube.com/watch?v=8GqwgVy9iN0

なるほど、説得的な解説がされております。私には非常に参考になりました。

新潟中央地震における柏崎原発の教訓を東京電力が生かさなかったという批判もなされているところですが、ググると大前さんが国の原子力産業育成を強く主張した記事がでてきます。これはある方の2009年のブログに引用されています。

http://tomisia.blog49.fc2.com/blog-entry-940.html

参考のために、上記ブログに引用されている大前さんの記事の全文を下記に転載します。

【追記:記事はVoice誌の2009年5月号に掲載されていました。http://www.php.co.jp/magazine/voice/?unique_issue_id=12377

つい先日まで首都圏の近くに原発をつくれと主張していた大前さんが、いまは舌鋒するどく政府と東京電力を非難しています。自分のかつての言動への反省なしに、いいんでしょうかね?

しかし、原発については一体誰を信用したらよいのでしょうか?

「原子力発電は大輸出産業になる」
大前研一(ビジネス・ブレークスルー代表取締役)
Yahoo! JAPAN  Voice 4月17日

◇棚ぼた式に儲かる原子力発電◇

 これまでに俯瞰してきたクリーンエネルギーに対して、圧倒的に優れているのが原子力発電である。第2次世界大戦中に各国の技術者を招集し、原子爆弾の開発に邁進したアメリカのマンハッタン計画以降、ほとんどの国が原子力開発を進め、30年ぐらいをかけて技術を確立し、数千人単位で技術者養成を行なってきた。しかし安全性や使用済み燃料の処理などの問題があって、次第に撤退が始まり、大半の国で技術は滅びてしまったのである。

 かつてアメリカではGE(BWR=沸騰水型炉)とウェスティングハウス(PER=加圧水型炉)の2社が世界に技術供給をしながら君臨していたが、1979年のスリーマイル島原発事故以来、新たな建設はストップされ、現在はメンテナンスしか行なっていない。ドイツはシーメンスのクラフトベルクユニオン事業部(KWU)が強い力をもっていたが、原子炉の設置を国民投票で禁止してしまったので事業ごとフランスのアレバに吸収合併されてしまった。スウェーデンにはアセアという会社があったが、やはり国民投票で原子力を推進しないことが決定し、同じように古い原子炉のメンテナンスだけを行なっている。イギリスも非常に早くから原子炉の開発を行なっていたが、やはり手を引いた。

 しかしここに来て、CO2を出さない原子力発電に、クリーンエネルギーとして大きな関心が集まっている。すでにアメリカは、新しい原子炉を約30基つくることを決めた。中国でも電力が3万メガワット不足していて、それを賄うために1000メガワットクラスの原子炉を30基つくるといわれている。インドでも原子炉が30基必要だとされているし、ロシアではまだチェルノブイリ型の原子炉があちこちで動いており、これを停止して新しい原子炉をつくる、という話が出ている。つまり現状、最低でも約100基の原子炉が世界で求められていて、それに加えてドイツやスウェーデンでも原子力発電を復活させる動きが出ている。環境問題が議論されるほど、原子炉建設は増えていくのだ。

 そうなったとき、その技術を提供できる会社はアメリカのGEの一部とウェスティングハウス、フランスのアレバ、そして日本の東芝、三菱重工、日立製作所だけである。しかもウェスティングハウスは東芝の傘下で、三菱重工はGEと、日立はアレバとも組む。つまり提供者は日本とフランスが中心で、ごく一部アメリカが残っているだけなのだ。各国の技術者たちが定年退職を迎え、技術が滅びていくなかで、日本だけが(意思決定の遅れによって)、幸運にも技術者を失わずに済んだのである。

 原子炉建設は1基おおよそ5000億円ぐらいの費用を要する大型の商談だ。そこでは棚ぼた式に、日本企業が儲かる仕組みになっている。今年に入って東芝がアメリカのテキサス州で受注したのは1300メガワットという超大型原子炉だったが、アメリカの電気事業者はそれをウェスティングハウスでなく、東芝に直接発注した。今後アメリカは「バイアメリカン」政策で保護主義に走るかもしれないが、そうなったらウェスティングハウスに請け負わせればよいだけで、日本企業はいま、非常に有利なポジションにいる。いまこそ日本は原子力を「国技」とし、そこに人材を投入すべきだ。オバマ政権のグリーンニューディールで原子力を重視するよう訴え、そのための技術を日本に請うよう働き掛けるべきである。先に述べたように、いまから原子力に関する技術研究・開発を行なったところで、オバマの任期である8年以内にはとても、日の目を見ることができないからだ。


 たとえば核融合はもう50年前から研究されているが、いまだプラズマの閉じ込めに苦労しており、とてもエネルギーを取り出す段階に進むのは困難と見られている。燃やすほどに発生するプルトニウムをさらに燃やして発電する「夢の原子炉」といわれた高速増殖炉にしても、アメリカは2つの実験炉をつくるまでに至ったが、ERB-2で事故を起こしてやめてしまった。フランスもラプソディ(実験炉)、フェニックス(実証炉)のあとスーパーフェニックス(商業炉)まで進んだのにやめてしまった。日本も常陽ともんじゅをつくったが、もんじゅはナトリウム漏洩事故から火災を起こし、停止したまま再稼働できずにいる。

 新技術は早々に開拓できるものではない。いまある技術(PERとBWR)をどう活用するか、という部分に目を向けるべきで、加えて熱中性子によってプルトニウムを核分裂させるプルサーマルがあれば21世紀中はおそらく十分であろう。

◇首都圏の近くに原子炉をつくれ◇

 さらにはアメリカにアプローチするだけではなく、日本版グリーンニューディールというならば、わが国も国策として国内の原子力発電を推進しなければならない。日本のプルトニウム保存量は他の資源に比べて非常に多い。もしプルトニウムを燃やすようなサイクルが確立されれば、エネルギーの一方的輸入国としてのハンディは大いに軽減されるだろう。

 そこで必ず出てくる反論は、「原子力発電は安全ではない」というものだ。しかし、かつてとは比較にならないほど、原子力発電の安全性は高まっている。たとえばフランスは全電力の6割以上を原子力で賄っており、ピーク時にはそれが7割まで進んだが、大きな問題は一度も起きていないし、人も死んでいない。旧ソ連のチェルノブイリ事故では多くの犠牲者を出したが、圧力容器がなく、爆発したら終わりというタイプの原子炉だったからだ。欧米や日本のタイプは圧力容器があって、スリーマイル島事故のような炉心融解が万一起きても、放射能はすべて中に閉じ込められる。

 なかでも日本の原子炉の安全性は特筆されるべきだろう。2007年の新潟県中越沖地震は柏崎刈羽にある1000メガワットクラスの原子炉7基を直撃したが、緊急停止の制御棒が挿入され、原子炉は無事停止した。またその後の炉心の熱除去も想定どおりに行なわれ、事故には至らなかった。少量の放射線が漏れはしたが、放射能を浴びた水が燃料貯蔵タンクからフロアにこぼれた程度で済んだ。

 原子炉の真下には、世界でも類を見ないほどの活断層があって、そのため想定を超える(加速度でいえば3倍)ほどの大きな揺れが生じたのに、原子炉はびくともしなかった。日本以外の国で、あれ以上の地震が起こることはまずないと考えてよいだろう。あの地震を経験したことで、数百見つかった設計・施工上の問題点は解決され、日本の技術にはますます磨きがかかってくるはずだ。そのことに日本人はもっと自信をもってよい。現場視察に訪れたIAEA(国際原子力機関)の専門家も、おそらく納得して帰っていったのではないだろうか。

 いまこそ原子炉建設を強力に進めるため、国はその障害を1つずつ取り除いていくべきだろう。安全審査があまりに厳しく、膨大なコストと時間がかかってしまう。設置場所や使用済み燃料の貯蔵場所についても、地域住民の賛同を得られにくい。いまだ国内では「汚い」「怖い」というイメージで、住民説明会で罵声を浴びせられてしまう。国のリーダーシップを発揮して、地方自治体に「お任せ」の観があった現状を変え、国策として進める基本態度を明らかにすべきである。自治体にマル投げしてコンセンサスが出るまで傍観しているいまのやり方では、国自ら日本の最強輸出産業の筆頭候補の足を引っ張ることになる。

 一方で、国民の理解を得、住民に納得してもらうための活動を真摯に行なう。柏崎刈羽の事故にしても、もっと詳しい情報が国民に開示されるべきだった。あの大地震に耐えたことがどのくらいの意味をもつのか、詳細を国民に知ってもらわねばならない。マスコミや住民もヒステリックな反応は避けるべきだ。彼らはすぐに「絶対に安全か」と問う。しかし本来、科学技術に「絶対」などない。自動車にしてもアクセルとブレーキを踏み間違えれば人を殺すわけで、あくまでそれを踏まえた大人の議論が求められている。原子力は日本の「国技」、これを育てていこう、という意識を国民全体で醸成していかなければならないのだ。

 海外では日本企業がどんどん原子炉を受注しているのに、国内では駄目、というのはコメディである。国民のコンセンサスすら取れないものを輸出しているのか、と非難されて当然だ。フランスのように自国できちんと利用が進んでいるからこそ、世界にその技術を誇ることができる。


 国民のコンセンサスを得ることができれば、もっと首都圏の近くに原子炉をつくることもできるだろう。同時に送電ロスを少なくする技術に磨きをかければ、それだけで首都圏の電力を廉価に賄えるようになる。クリーンエネルギーという面だけではなく、経済面からみても、石油が1バレル=60ドルを超えれば、原子力にはかなりの経済合理性がある。100ドルを超えれば、後処理も含めてその競争力はさらに際立つ。原子炉をベースにして火力発電でピーク負荷に対応することもできるし、石油価格が上がったときは投入原子炉の数を増やし、下がったら減らせばバランスがとれる。原子力はOPECに対抗して、原油の価格上昇を抑える効果も有しているのだ。

◇電気自動車に生きる日本のお家芸◇

 最後にグリーンニューディールを議論するうえで、どうしても欠かすことができないのが、地球環境破壊者としてのクルマをどうするか、という点だろう。

 目下のところ、ホンダのハイブリッド車であるインサイトや新型プリウスが話題を集めているように、ガソリン車からハイブリッド車や(ドイツなどでは)クリーンディーゼル車へという流れが生まれつつある。まずはこの取り組みの延長上で、エネルギー効率を改良する方向に事態は進んでいくだろう。オバマもリッター20キロ以上が目標、と明確に述べている。さらにはこれからプラグインの電気自動車が注目されることも疑いはない。今年開催されたスイスの自動車ショーでも、三菱、マツダ、日産など数社が出品を行なった。

 そしてこの分野でも、日本は圧倒的に強い。実用車としては若干高価だが、アメリカのTESLAなどが先行しているしドイツもいい線までいっている。電気自動車で使用するリチウムイオン電池は日本製、モーターは日本または台湾製である。リチャージャブルな蓄電池は日本のお家芸で、日本企業には大いに活躍の場がある。

 ただし、電気自動車といっても万能ではない点には留意が必要だ。CO2をばらまくのが、はるか離れた発電所がある場所というだけで、それが発電所でつくったエネルギーを使うことに変わりはないからである。小さな町で充電ステーションをあちこちに置いて、街中の空気がどのくらい綺麗になり、騒音がどれぐらい減るか、という調査は住環境の改善という観点からは有意義である。しかし、現在市中に出回っている数千万台の自動車をすべて電気自動車に置き換えても、それはグリーンポリシーから見れば、そこまで大きな意味はない。


 いずれにせよ、これからオバマのグリーンニューディールがどちらの方向に進んでも、日本にとっては技術や素材の点できわめて有利な状況が訪れる。そこでしっかり網を張って待っていれば、素直にアメリカはその方向に来ざるをえないだろう。そのためにも日本は自らの強みを認識し、同時に原子力を中心とした、日本版グリーンニューディールを実証する作業を強力に推し進めるべきなのだ。

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