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2011年3月に作成された記事

2011年3月23日 (水)

目黒区包括外部監査で指摘したデータバックアップはすべての地方自治体の問題

平成22年度の東京都目黒区の包括外部監査報告書が公表されています。私が包括外部監査人を務めるのは2年目ですが、残念ながら緊縮予算で包括外部監査制度そのものが廃止されることになり、これが最後の報告書となります。

この報告書では、戸籍情報のバックアップデータの区外の施設での保管をすべきことを指摘しています(28頁)。また、選挙管理委員会における選挙人名簿の管理にも言及し、火災等によるデータ消失の危険性について指摘しています(45頁)。

はからずも、今回の東北関東大震災で大きな被害を受けた陸前高田市では住民基本台帳その他の重要な行政文書がすべて津波で流出し、行政機能の回復が著しく困難となっているとの報道がされております。私も行政の基本的データのバックアップの重要性を、より深く認識しました。

このような広域災害のみならず、市庁舎の火災によりデータ消失が発生するリスクは否定しようがないわけです。特に広域災害が発生したときの行政の対応がきわめて重要であり、災害発生時だけでなく今後も復興対策のベースとなるであろう住民の基本データは行政活動にとってなくてはならないものでしょう。

地方自治体の情報セキュリティ体制の整備については総務省も力をいれているところでありますが、今回の大震災の経験から、全国の地方自治体における戸籍データ、住民基本台帳データ等の重要な行政文書のバックアップ体制をただちに見直すべきであろうと思います。

2011年3月22日 (火)

こんな時に忘れがちなインサイダー取引規制

大災害にあったときには、各企業さんとも損害の把握と企業活動の一日でも早い回復に目が向くでしょう。それは極めて当然のことですが、インサイダー取引規制ではちょっと注意してもらいたいことがあります。

金融商品取引法166条2項2号は発生事実を知って有価証券の取引を行うことを禁止しております。発生事実には、「災害に起因する損害」が含まれています(同号イ)。ただし、軽微基準があり、「災害に起因する損害の額が最近事業年度の末日における純資産額の3%に相当する額未満であると見込まれるとき」は重要事実とはなりません(有価証券等の取引等の規制に関する内閣府令50条1号)。物的損害においては、損害額はその物の再取得額ではなく、帳簿価額を基準に算定されるということになっております。保険による補てんは一切考慮されません。

上場企業の子会社について災害に起因する損害が発生したときも、まったく同じ基準で重要事実とされています。当該上場企業が発行する株を、会社関係者又は第一次情報受領者が右重要事実を知りながら取引するとインサイダー取引違反になります。

現状で把握している損害のレベルが、前事業年度の純資産額の3%に届くかどうかを注意してください。損害額の程度は概算でもいいので適時計算されるべきでしょう。重要事実であることの認識が、社内でちゃんとされているかどうか、重要情報としての管理が徹底されているかどうかもチェックしてください。

また、主要取引先との取引の停止も発生事実とされています。主要取引先とは、前事業年度における売上高または仕入高が売上高の総額または仕入高の総額が10%以上である取引先をいいます。立法担当官の解説によれば、「取引の停止」とは取引が停止されたことをいい、その原因を問わないとされています。一時的中止が該当するかですが、ある部品の仕入先が当該部品の製造を中止した場合は取引の停止となると解説されているところをみると、一時的中止はこれに該当しないと思われます。しかし、取引再開のめどもたたないような場合には、極めて微妙です。

してみると、これらの発生事実が発生した上場企業がどのていど当該発生事実を「公表」するかによってインサイダー取引になるかが変ってまいります。TDnetによる公表は、2以上の報道機関に対する公開後12時間の経過の方法によるよりも、公表の効果発生が早いのでこれを利用すべきでしょう。

なお、東証のほうでも損害の状況をいち早く適時開示するよう要請がでていると理解していますが、これは投資家への情報という側面もありますが、うっかりインサイダー取引を防止するためでもあります。

2011年3月21日 (月)

福島原発事故にかいまみる「職業倫理とは?」

大前研一さんが解説する福島原発の対策、今後の対応、国の政策を解説したYoutubeが話題になりつつあります。

http://www.youtube.com/watch?v=8GqwgVy9iN0

なるほど、説得的な解説がされております。私には非常に参考になりました。

新潟中央地震における柏崎原発の教訓を東京電力が生かさなかったという批判もなされているところですが、ググると大前さんが国の原子力産業育成を強く主張した記事がでてきます。これはある方の2009年のブログに引用されています。

http://tomisia.blog49.fc2.com/blog-entry-940.html

参考のために、上記ブログに引用されている大前さんの記事の全文を下記に転載します。

【追記:記事はVoice誌の2009年5月号に掲載されていました。http://www.php.co.jp/magazine/voice/?unique_issue_id=12377

つい先日まで首都圏の近くに原発をつくれと主張していた大前さんが、いまは舌鋒するどく政府と東京電力を非難しています。自分のかつての言動への反省なしに、いいんでしょうかね?

しかし、原発については一体誰を信用したらよいのでしょうか?

「原子力発電は大輸出産業になる」
大前研一(ビジネス・ブレークスルー代表取締役)
Yahoo! JAPAN  Voice 4月17日

◇棚ぼた式に儲かる原子力発電◇

 これまでに俯瞰してきたクリーンエネルギーに対して、圧倒的に優れているのが原子力発電である。第2次世界大戦中に各国の技術者を招集し、原子爆弾の開発に邁進したアメリカのマンハッタン計画以降、ほとんどの国が原子力開発を進め、30年ぐらいをかけて技術を確立し、数千人単位で技術者養成を行なってきた。しかし安全性や使用済み燃料の処理などの問題があって、次第に撤退が始まり、大半の国で技術は滅びてしまったのである。

 かつてアメリカではGE(BWR=沸騰水型炉)とウェスティングハウス(PER=加圧水型炉)の2社が世界に技術供給をしながら君臨していたが、1979年のスリーマイル島原発事故以来、新たな建設はストップされ、現在はメンテナンスしか行なっていない。ドイツはシーメンスのクラフトベルクユニオン事業部(KWU)が強い力をもっていたが、原子炉の設置を国民投票で禁止してしまったので事業ごとフランスのアレバに吸収合併されてしまった。スウェーデンにはアセアという会社があったが、やはり国民投票で原子力を推進しないことが決定し、同じように古い原子炉のメンテナンスだけを行なっている。イギリスも非常に早くから原子炉の開発を行なっていたが、やはり手を引いた。

 しかしここに来て、CO2を出さない原子力発電に、クリーンエネルギーとして大きな関心が集まっている。すでにアメリカは、新しい原子炉を約30基つくることを決めた。中国でも電力が3万メガワット不足していて、それを賄うために1000メガワットクラスの原子炉を30基つくるといわれている。インドでも原子炉が30基必要だとされているし、ロシアではまだチェルノブイリ型の原子炉があちこちで動いており、これを停止して新しい原子炉をつくる、という話が出ている。つまり現状、最低でも約100基の原子炉が世界で求められていて、それに加えてドイツやスウェーデンでも原子力発電を復活させる動きが出ている。環境問題が議論されるほど、原子炉建設は増えていくのだ。

 そうなったとき、その技術を提供できる会社はアメリカのGEの一部とウェスティングハウス、フランスのアレバ、そして日本の東芝、三菱重工、日立製作所だけである。しかもウェスティングハウスは東芝の傘下で、三菱重工はGEと、日立はアレバとも組む。つまり提供者は日本とフランスが中心で、ごく一部アメリカが残っているだけなのだ。各国の技術者たちが定年退職を迎え、技術が滅びていくなかで、日本だけが(意思決定の遅れによって)、幸運にも技術者を失わずに済んだのである。

 原子炉建設は1基おおよそ5000億円ぐらいの費用を要する大型の商談だ。そこでは棚ぼた式に、日本企業が儲かる仕組みになっている。今年に入って東芝がアメリカのテキサス州で受注したのは1300メガワットという超大型原子炉だったが、アメリカの電気事業者はそれをウェスティングハウスでなく、東芝に直接発注した。今後アメリカは「バイアメリカン」政策で保護主義に走るかもしれないが、そうなったらウェスティングハウスに請け負わせればよいだけで、日本企業はいま、非常に有利なポジションにいる。いまこそ日本は原子力を「国技」とし、そこに人材を投入すべきだ。オバマ政権のグリーンニューディールで原子力を重視するよう訴え、そのための技術を日本に請うよう働き掛けるべきである。先に述べたように、いまから原子力に関する技術研究・開発を行なったところで、オバマの任期である8年以内にはとても、日の目を見ることができないからだ。


 たとえば核融合はもう50年前から研究されているが、いまだプラズマの閉じ込めに苦労しており、とてもエネルギーを取り出す段階に進むのは困難と見られている。燃やすほどに発生するプルトニウムをさらに燃やして発電する「夢の原子炉」といわれた高速増殖炉にしても、アメリカは2つの実験炉をつくるまでに至ったが、ERB-2で事故を起こしてやめてしまった。フランスもラプソディ(実験炉)、フェニックス(実証炉)のあとスーパーフェニックス(商業炉)まで進んだのにやめてしまった。日本も常陽ともんじゅをつくったが、もんじゅはナトリウム漏洩事故から火災を起こし、停止したまま再稼働できずにいる。

 新技術は早々に開拓できるものではない。いまある技術(PERとBWR)をどう活用するか、という部分に目を向けるべきで、加えて熱中性子によってプルトニウムを核分裂させるプルサーマルがあれば21世紀中はおそらく十分であろう。

◇首都圏の近くに原子炉をつくれ◇

 さらにはアメリカにアプローチするだけではなく、日本版グリーンニューディールというならば、わが国も国策として国内の原子力発電を推進しなければならない。日本のプルトニウム保存量は他の資源に比べて非常に多い。もしプルトニウムを燃やすようなサイクルが確立されれば、エネルギーの一方的輸入国としてのハンディは大いに軽減されるだろう。

 そこで必ず出てくる反論は、「原子力発電は安全ではない」というものだ。しかし、かつてとは比較にならないほど、原子力発電の安全性は高まっている。たとえばフランスは全電力の6割以上を原子力で賄っており、ピーク時にはそれが7割まで進んだが、大きな問題は一度も起きていないし、人も死んでいない。旧ソ連のチェルノブイリ事故では多くの犠牲者を出したが、圧力容器がなく、爆発したら終わりというタイプの原子炉だったからだ。欧米や日本のタイプは圧力容器があって、スリーマイル島事故のような炉心融解が万一起きても、放射能はすべて中に閉じ込められる。

 なかでも日本の原子炉の安全性は特筆されるべきだろう。2007年の新潟県中越沖地震は柏崎刈羽にある1000メガワットクラスの原子炉7基を直撃したが、緊急停止の制御棒が挿入され、原子炉は無事停止した。またその後の炉心の熱除去も想定どおりに行なわれ、事故には至らなかった。少量の放射線が漏れはしたが、放射能を浴びた水が燃料貯蔵タンクからフロアにこぼれた程度で済んだ。

 原子炉の真下には、世界でも類を見ないほどの活断層があって、そのため想定を超える(加速度でいえば3倍)ほどの大きな揺れが生じたのに、原子炉はびくともしなかった。日本以外の国で、あれ以上の地震が起こることはまずないと考えてよいだろう。あの地震を経験したことで、数百見つかった設計・施工上の問題点は解決され、日本の技術にはますます磨きがかかってくるはずだ。そのことに日本人はもっと自信をもってよい。現場視察に訪れたIAEA(国際原子力機関)の専門家も、おそらく納得して帰っていったのではないだろうか。

 いまこそ原子炉建設を強力に進めるため、国はその障害を1つずつ取り除いていくべきだろう。安全審査があまりに厳しく、膨大なコストと時間がかかってしまう。設置場所や使用済み燃料の貯蔵場所についても、地域住民の賛同を得られにくい。いまだ国内では「汚い」「怖い」というイメージで、住民説明会で罵声を浴びせられてしまう。国のリーダーシップを発揮して、地方自治体に「お任せ」の観があった現状を変え、国策として進める基本態度を明らかにすべきである。自治体にマル投げしてコンセンサスが出るまで傍観しているいまのやり方では、国自ら日本の最強輸出産業の筆頭候補の足を引っ張ることになる。

 一方で、国民の理解を得、住民に納得してもらうための活動を真摯に行なう。柏崎刈羽の事故にしても、もっと詳しい情報が国民に開示されるべきだった。あの大地震に耐えたことがどのくらいの意味をもつのか、詳細を国民に知ってもらわねばならない。マスコミや住民もヒステリックな反応は避けるべきだ。彼らはすぐに「絶対に安全か」と問う。しかし本来、科学技術に「絶対」などない。自動車にしてもアクセルとブレーキを踏み間違えれば人を殺すわけで、あくまでそれを踏まえた大人の議論が求められている。原子力は日本の「国技」、これを育てていこう、という意識を国民全体で醸成していかなければならないのだ。

 海外では日本企業がどんどん原子炉を受注しているのに、国内では駄目、というのはコメディである。国民のコンセンサスすら取れないものを輸出しているのか、と非難されて当然だ。フランスのように自国できちんと利用が進んでいるからこそ、世界にその技術を誇ることができる。


 国民のコンセンサスを得ることができれば、もっと首都圏の近くに原子炉をつくることもできるだろう。同時に送電ロスを少なくする技術に磨きをかければ、それだけで首都圏の電力を廉価に賄えるようになる。クリーンエネルギーという面だけではなく、経済面からみても、石油が1バレル=60ドルを超えれば、原子力にはかなりの経済合理性がある。100ドルを超えれば、後処理も含めてその競争力はさらに際立つ。原子炉をベースにして火力発電でピーク負荷に対応することもできるし、石油価格が上がったときは投入原子炉の数を増やし、下がったら減らせばバランスがとれる。原子力はOPECに対抗して、原油の価格上昇を抑える効果も有しているのだ。

◇電気自動車に生きる日本のお家芸◇

 最後にグリーンニューディールを議論するうえで、どうしても欠かすことができないのが、地球環境破壊者としてのクルマをどうするか、という点だろう。

 目下のところ、ホンダのハイブリッド車であるインサイトや新型プリウスが話題を集めているように、ガソリン車からハイブリッド車や(ドイツなどでは)クリーンディーゼル車へという流れが生まれつつある。まずはこの取り組みの延長上で、エネルギー効率を改良する方向に事態は進んでいくだろう。オバマもリッター20キロ以上が目標、と明確に述べている。さらにはこれからプラグインの電気自動車が注目されることも疑いはない。今年開催されたスイスの自動車ショーでも、三菱、マツダ、日産など数社が出品を行なった。

 そしてこの分野でも、日本は圧倒的に強い。実用車としては若干高価だが、アメリカのTESLAなどが先行しているしドイツもいい線までいっている。電気自動車で使用するリチウムイオン電池は日本製、モーターは日本または台湾製である。リチャージャブルな蓄電池は日本のお家芸で、日本企業には大いに活躍の場がある。

 ただし、電気自動車といっても万能ではない点には留意が必要だ。CO2をばらまくのが、はるか離れた発電所がある場所というだけで、それが発電所でつくったエネルギーを使うことに変わりはないからである。小さな町で充電ステーションをあちこちに置いて、街中の空気がどのくらい綺麗になり、騒音がどれぐらい減るか、という調査は住環境の改善という観点からは有意義である。しかし、現在市中に出回っている数千万台の自動車をすべて電気自動車に置き換えても、それはグリーンポリシーから見れば、そこまで大きな意味はない。


 いずれにせよ、これからオバマのグリーンニューディールがどちらの方向に進んでも、日本にとっては技術や素材の点できわめて有利な状況が訪れる。そこでしっかり網を張って待っていれば、素直にアメリカはその方向に来ざるをえないだろう。そのためにも日本は自らの強みを認識し、同時に原子力を中心とした、日本版グリーンニューディールを実証する作業を強力に推し進めるべきなのだ。

2011年3月20日 (日)

福島原発で作業にあたっている方々の安全を祈ろう

朝鮮日報の日本語のページを御存知でしょうか。下記はそこに掲載された記事です。これを読めば、なぜ東京消防庁から派遣された部隊の隊長が本日夜の記者会見で涙されたのかがただちに理解できます。皆さん、原発で献身的な活動をされている方々の安全を心から祈りましょう。

2011年3月15日 (火)

福島原発事故に関する科学的解説と混乱する報道

ニューヨークにいる友人が、下記のような福島原発事故に関する記事があると知らせてくれました。読んでも理解が難しいものですが、ご参考までにご紹介します。

【3月16日 お詫びと訂正
上記の記事のURLアドレスを示し、下記にはその記事の解説を書いてていましたがURLアドレスを削除しました。理由は、この記事の作者が原発推進派でアクティビストであることが判明したこと、したがって記事にはバイアスがかかっているおそれがあること、この記事ではメルトダウンがあっても安全に核連鎖反応をとめられるかのごとく書いているが、それは下記の第二の追伸にもあるとおり正確ではないこと、の三点にあります。科学的根拠に基づくべきというのは、科学者が書く記事であるならばいわずもがなであって、現実に進行している事態が上記記事の楽観的見方をすでに否定しているものです。不正確な記事をご紹介したことを皆様に深くお詫びします。なお、以下、訂正を入れます。】

本日午前10時13分の日経新聞の報道によると、爆発により2号機の格納容器の下にある圧力抑制室が破損したということです。核燃料を収納している圧力鍋の外側にあるのが格納容器があるというのが、このタイプの原発の構造のようです。爆発による圧力抑制室が破損し、穴があいている可能性があるということは、2番目の容器が壊れている蓋然性が高いということです。枝野官房長官も格納容器が壊れている蓋然性が高いと発言しています。

しかし、この記事によると、福島原発のタイプの圧力容器は完全なメルトダウンを内部で受け止める目的で設計されており、大きく厚いコンクリートのたらいが圧力容器の下に位置し、黒鉛で塗り固められており、メルトダウンを起こした核燃料を内部でキャッチする構造となっているとあります。

圧力容器のどこに壊れが生じたのかが報道ではまったくわかりませんが、この構造により、メルトダウンをした核燃料は黒鉛のコアキャッチャーの内側に付着し冷やされるということになります。上記の科学解説記事によれば、すでに制御棒を差し込まれた核燃料では、中性子が別のウラン原子に衝突してさらに中性子をつくるという核連鎖反応はとまっています。つまり、
①ウランが核分裂をおこしているときにセシウムやヨウ素同位体などの中間放射性生成物を作り、これが崩壊して放射能を出すのだが、制御棒により書く連鎖反応がとまったことにより、中間放射性生成物の生成はとまっている。
②残った中間放射性生成物は崩壊の過程で発熱をするが、新たな中間放射性生成物は生成されないからどんどん減っていくので、数日たてば核は冷温停止する
というのがこの科学的解説記事の内容となっています【訂正:この内容について②が正確でないことにつき、下記第二の追伸を読んでください。】

とすれば、今、問題なのは、発生している可能性のある亀裂からの中間放射性生成物やそれが崩壊の過程でだす放射線が漏れ出すことであって、それがどの程度の量でどの程度のレベルとなる可能性があるのかという話のはずです。セシウムやヨウ素が雨で流れる可能性についても、どうなのかという話もあるでしょう。

してみると、たとえば日経新聞の記者が書いているような再臨界など起こりようがないわけでして、一体どちらがほんとうなのか、まったくわからなくなってしまいます。訂正:再臨界の可能性が残ることは第二の追伸をご覧下さい。】

冷静かつ科学的な解説が必要に感じます。すべての関係者、特にマスコミの皆さんはよくよく考えて、わかりやすく、かつ科学的根拠に基づいて説明してもらいたいものです。

追伸(午後1時20分)

破損した圧力抑制室は格納容器そのものではなく、それにつながっているものであることが、読売新聞、朝日新聞の報道ではっきりしました。つながっている圧力抑制室の通常3気圧ある気圧が1気圧になっていることから、破損した可能性があると判断されているということです。

第二の追伸(午後4時10分)

メルトダウンが起きても制御棒が入れられて核分裂連鎖反応がとまっていれば、再臨界はおきないのではないかと疑問を書きましたが、そうとも言い切れないことを伊東乾さんのコラムで知りました。下記はそのコラムからの抜書きです。

『ポイントはすべて原理的でシンプルです。「比重の重いものは重力で下に沈んで集まる」「ウラン燃料が一定以上の『濃度』で集まると『臨界』などの核反応が起きてしまう」。この2つです。』

『もし比重の重いウランが溶け出して一定以上の密度で集中してしまうと、せっかく制御棒の間仕切りで邪魔した「核分裂連鎖反応」が再び起きてしまいます。これが「再臨界」で、何をおいてもこれを防がねばなりません。』

これを読んでまたわからなくなりました。つまり格納容器の底の分厚いコンクリート製で黒鉛でかためられている受け皿は、最後の砦として設計されているのであるから、メルトダウンがおこっても、核分裂連鎖反応がおこらないような、あるいは核分裂連鎖反応がおきる可能性を最低限にするような構造をもっているはず(そうでなければ目的は達せられない)。そこはどうなっているのか?
【追記:現状、この点の解説は発見できておりません。】

【3月17日追記:受け皿を含む格納容器は「コアキャッチャー」と呼ばれているのですが、その言葉でググると以下のような記事があるのを見つけました。

http://www.ekouhou.net/disp-ipc-G21C9,016.html

やはり、メルトダウンした核燃料を保持する技術には国際特許が成立しているものがいくつもあるようです。ただ、福島原発では何が使われているのかはいまのところ見つけ出していません。

また、福島原発から放出されたと思われる中間放射性生成物であるヨウ素131、セシウム134、137が検出されたという報道があります。

http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2011031600915

ヨウ素131の半減期は8日、ヨウ素131が崩壊する過程で放出される放射線も半分になります。ヨウ素131が体内に摂取されると甲状腺に蓄積される性質があり、大量に摂取すると癌を発症させる原因となります。http://www.med.nagasaki-u.ac.jp/interna_heal_j/a3.html

セシウム134は半減期が2年、これに対してセシウム137は半減期が30年ということなので、セシウムの量が多いと多量の放射線が長期にわたり放出されつづけるということになるようです。また、セシウム137は体内に摂取されると対外排出されるまで100日から200日かかるので、その量が多いと体内被曝の原因となり危険であるとの解説がなされています。http://cnic.jp/modules/radioactivity/index.php/12.html

ヨウ素やセシウムにしても、どの程度の放射線の量がでているのかが、問題であるということですね。】

2011年3月14日 (月)

危機管理能力の批判はあとだ

東北地方太平洋沖地震で被災された方々には心よりお見舞い申し上げます。また、不幸にして犠牲になられた方々のご冥福をお祈りいたします。

茅場町の第三証券会館で金融ADRのあっせんを行っているときに、地震が起きました。あまり新しいビルではないので、机の下にもぐりながらも経験したことのないゆれにビルがつぶれるかもしれないと恐怖しましたが、幸いにもビルに損傷はなく、ゆれがおさまったあと脱出できました。

我が国の歴史上最大の天災、それに加え福島第一原発の炉心融溶事故という世界でも最大規模の原子力発電所事故の二重の危機に襲われ、関係各方面が必死になって対策をうっています。情報の出方が遅いことに対する批判が出ていますが、今はともかくも現状把握と対策に必死になるべき時期であると思います。

特に、非常事態の中、福島の現場で放射能の危険に身をさらしながら頑張っている東京電力社員の皆様、関係協力会社の社員の皆様のことを思えば、現場から離れた安全地帯にいる我々が会社の対応を今あれこれと非難しそのことに対応する時間を東京電力に使わせてはならないでしょう。もちろん正確な情報をあげろという政府からの訓令は当然です。しかし、現場に混乱がおきるのも無理はない事態なのです。冷静に対処すべきは、現場のみならず、マスコミを含めた我々も同様であり、けっしていらだってはなりません。

企業でもクライシスマネジメントが進行しています。と同時にいち早く、被災地への義援金拠出や無償の製品供給を決めた企業もあります。オートバックスセブンは1億円の日本赤十字を通じての義援金寄付と、自動車の中で携帯電話が充電てきる携帯電話充電器39,075台(10,983千円相当)、インバーター5,000台(7,000千円)の無償提供を取締役会で決定し、発表しました。ぞくぞくと同様のアクションをとる企業が出ています。企業の良心がまさに今示されているのであり、今をおいて示す時期はほかにありません。

事態がすこし収拾すれば、被災者の法律問題が山のようにでてきます。我々弁護士も、その時期にはボランティアで役に立たなければなりません。

2011年3月 7日 (月)

内部統制ワーキンググループ報告書

日本取締役協会の内部統制ワーキンググループで検討しました『内部統制報告制度等の論点と提言』が発表されております。不肖、私が座長を務め、まとめるのにとても苦労をして、ようやく提出にこぎつけた報告書です。

商事法務2011年3月5日(NO.1925)のニュース欄にもその要旨が紹介されております。グループのメンバーにも大変ご苦労をかけた労作ですので、いろいろな方に読んでいただき、今後の内部統制報告制度の改善に役立てていただければと思っておりますので、ぜひご一読下さい。

なかでも、今回の研究で感じましたのは、取締役諸氏の内部統制報告制度の理解と評価がどうなっていくか、です。個人的には、ビジネスマンには評判がいつまでたっても芳しくないこの制度が、企業の財務報告の信頼性に係る内部統制の強化につながっていると思っており、昨今の海外子会社の不祥事の発見はまさに制度導入によって会社の統制が海外子会社まで適切に及んでいくときの一時的病理現象であり、PDCAのサイクルが回りはじめているポジティブな表れと思っております。

執行部門に権限委譲し迅速な意思決定を可能にするために必要な制度であるという認識には、なかなか至らないのが残念ですね。異論は多々あるでしょうが、長きにわたり企業不祥事と付き合っている私としては確信があります。

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