« 独立取締役が機能するための前提条件 | トップページ | 新司法試験と法科大学院の教育-講師としての体験談 »

2010年9月 4日 (土)

日本内部統制研究学会大会第3回年次大会で話します

いよいよ月曜日に日本内部統制研究学会第3回年次大会が、東京・市ヶ谷のアルカディア市ヶ谷(私学会館)で行われます。私は統一論題「内部統制報告制度による企業価値向上-制度のさらなる進化に向けて」に報告発表者、討論者として参加します。

企業会計審議会で審議が行われている内部統制報告制度の改善の論点にはあえて踏み込まず、企業価値向上のための内部統制報告制度とはいったい何をイメージしているのか、というところから、コーポレート・ガバナンス論、監査役の監査、独立取締役の機能などとリンクさせて、大きな視点で「企業価値」の向上のための内部統制報告制度の機能をいかに向上させるかという点について報告するつもりです。

私としては、とかくテクニカルな議論に陥りやすい内部統制報告制度を、コーポレート・ガバナンスというシステムを構成する一制度として位置づけて、システムを構成する他の制度とどのように関連付ければガバナンスが強化されるのかということを、学会としてはもう少し考えるべきであるという問題提起のつもりで、報告と討論をさせていただくつもりです。

内部統制報告制度は開示の制度なので、制度に詳しい方の間では開示のシステムとしてどうすべきかという議論になりがちです。学会は公認会計士やコンサルタントの方が多いので、どうもそういった傾向にあるな~と感じていたのですが、「内部統制研究」学会なのですから、財務報告の信頼性に係る内部統制だけでなく、業務の効率性・有効性や法令等遵守に係る内部統制にも踏み込んで語る必要があるなと感じていました。ということは、それを行うとなるとガバナンス全体を語るということになります。

そういう議論を行う際に、重要なのは、開示の制度は開示だけと割り切らないことではないかと思っています。たしかに、内部統制報告制度は経営者が自己評価してその結果を開示する制度ですが、その過程では、内部統制の整備及び運用状況が継続して見直されていくPDCAサイクルが想定されています。つまり、制度としては開示なのだが、機能としては上場企業に内部統制構築を間接的に促している制度です。初年度の内部統制報告に関する各種アンケート調査において、内部統制が強化されたと回答している企業が非常に多数でているのは、内部統制報告準備を通じて企業に財務報告の信頼性に係る内部統制を強化させるという金融庁のもくろみが成功したといえる証であると思います。

それでは、そういう機能にすなおに着目して、取締役の善感注意義務としての内部統制構築義務や法令等遵守の機能、取締役会のガバナンスの機能にどう結び付けていけばガバナンス全体がよくなるか、という切り口が必要ではないかと思います。というのも今の内部統制報告制度の最大の弱点は、取締役会において気にしている取締役が少ない、場合によっては社長も財務担当取締役になげているという点にあるのではないか、そして、そのしわよせは監査役がかなりかぶっているのではないかと、感じているからです。内部統制報告制度がより機能するためには、取締役会をどう関与させるべきかということが大事であると考えています。

ご興味がある方は、統一論題の議論だけでもぜひ来ていただければうれしく思います。統一論題の報告は午後2時40分開始です。

« 独立取締役が機能するための前提条件 | トップページ | 新司法試験と法科大学院の教育-講師としての体験談 »

会社法」カテゴリの記事

内部統制・コンプライアンス」カテゴリの記事

金融商品取引法」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1098026/36542978

この記事へのトラックバック一覧です: 日本内部統制研究学会大会第3回年次大会で話します:

« 独立取締役が機能するための前提条件 | トップページ | 新司法試験と法科大学院の教育-講師としての体験談 »