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2009年11月16日 (月)

上村教授が語る公開会社法(3)

前回に引き続きます。

中村直人先生は、上村先生が、公開会社法は市民社会を相手にするものであり、戦後日本の証券民主化の理念を復活させるものであるという説明について、それは公開会社法の政策的目的なのか、それとも公開会社法とは離れた政策論なのか、と鋭く切り込みます。

上村先生にはそれには直接答えておらず、第三者割当増資が欧米では株主割当が当たり前で例外的にしか認められないのは、個人中心の市民社会をつくるのに大変苦労したから、法人向けの第三者割当がやたら行われることによって個人中心の社会が小さくなっていくおそれがあるから、そうなったと答えます。

また、上村先生は、株主平等原則は英米には存在しないが、欧米では10対1の出資でも人間対人間の関係というところにこだわっているように思います、と説明されます。こういう社会の性格や規範を理解しないと株式会社というものを日本で定着させられない、公開会社法の議論はこうした価値や規範が中核であると、続けられます。

だんだん、私の首が傾く角度が大きくなってきました。

第三者割当増資のリスクは、希釈化がまねく既存株主の犠牲による割当先の利益獲得ではなかったでしたかね?既存株主が法人であろうと個人であろうと関係ないんじゃないでしょうか。ましてや個人中心の社会が小さくなるなんて、へんですよね。それだったら法人保有割合をなんで制限しないの、と思っちゃいます。

なんか、上村先生の描かれている市民社会のイメージが19世紀的に思えるのですが。

それに、上村先生、古い映画ですが「ウォール・ストリート」、ご覧になってませんかね?カーク・ダグラス演じるコーポレート・レイダーが乗っ取ろうとしている会社の株主総会でこう言うんです。"Greed is good. Greed works."

これが行き過ぎたというわけでさまざまな改革がアメリカではされるわけですが、でも基本は人間の欲望追及に極めて寛容な社会が、欧米の社会であって、それが個人主義のベースになっていると、私は思うのです。だから、アメリカは典型的な金がすべての社会です。富を築いて成功した者は善とみて、そういうものにあこがれるのがアメリカです。

これに対して、貴族階級と市民階級というクラス・ソサエティの二種類の社会がブレンドして(前者が崩壊する)、新たに市民社会の中に上流階級、中流階級、下流階級ができているのがヨーロッパ先進国であると思うんですが。そこでの各階級の利益は鋭く対立しているのが、現実なのではないでしょうか。そしてごく少数の上流階級が株式会社を支配しているのであって、その暴走を止めるための装置が考えられていると観たほうが、ずっと現実感覚にあうと思います。(続く)

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