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2009年9月26日 (土)

鳩山政権に対するウォール・ストリート・ジャーナルの評価は辛い

パリにきております。初めてのフランスの首都訪問、歴史ある街の富の蓄積ぶりと、フランスの労働者天国ぶりにただただおどろいております。

鳩山総理大臣が国連で演説し、温暖化ガスの25%の削減を「すべての主要国の参加による意欲的な目標の合意が、わが国の約束の前提になる」という条件をつけて表明したと報道されました。

そんな条件をつけたら、この問題についてはそもそも主要国の足並みがまったくそろわないしまとまらないという状況なので、日本は少しも真剣でないんだなと国際社会では受け取られているだろうと思い、ある意味、鳩山政権は国内の顔と国外に示す顔の使い分けをしているのではないかと思いました。しかし、これは国民に対する公約違反でしょう。

もっとも政権はそういう意識ゼロだと思います。真剣でないとみられるリスクなんて思いもつかないでしょうからね。これで世界に対して日本が相当の影響を与えたなんで思ったら、間違いでしょう。

その点について断罪するのが今日のブログの目的ではなく、これはイントロとして書きました。本題はパリでワインを傾けつつ読んだ、ウォール・ストリート・ジャーナル9月23日欧州版にのった社説をご紹介したいのです。

表題は「鳩山の悪い経済のスタート」というものです。以下、要旨です。

「新政権は、預金金額で世界最大の銀行である日本郵政の民営化プランを白紙に戻すつもりであるという最も重要な確認を日曜日に行った。民営化は国の借金を返済するために求められている原資を提供し、預金獲得にむけての競争をつうじて、より民間資本の形成を促進するという成果をあげるはずのものであった。」

「日本郵政を現状維持することで、鳩山政権は安易な金を、ひも付きプロジェクトや、政治的な結びつきのある会社や有力支持層に行くようかき集める主要な仕組みを維持することになる。」

「亀井氏の財務上の”ファンタジーランド(理想郷)”では、銀行はーリターン如何に関係なくー銀行がいい気分を味わうために個人や会社に金を貸すのだ。このようなやり方は、日本のゾンビ銀行を10年間にわたって生きながらえさせた政府の金の浪費と同じであり、日本人の貯蓄に対するリターンを圧迫し、世界経済からかけ離れていくことを意味する。」

「鳩山氏はGDPに対する国の借金などの制約に意識をもっているようであるし、無駄遣いをなくすと公約している。しかし、失敗している地方の借り手に対して下駄をはかせてやったり、会計原則を変えて銀行の持ち合い株式の損を隠したりするといった悪いアイデアもちらほら明らかになっている。鳩山政権を支援した労働組合は労働法を厳格化しようとしている。あまつさえ、環境に対する負担金という形で高い税金をかけようという話がある。」

「日本の経済の一時的な回復はーそれは国外の条件の改善にそのほとんどを負っているーこういった重しにたえられない。日本は貯蓄をもっと生産的な投資にまわすためのより自由な市場間競争、企業が国内にもっと投資をするためのインセンティブ、そして外国投資家を魅了することが猛烈に必要なはずである。」

「鳩山氏はよりきれいな政府ともっと豊かさを日本にもたらすため、雪崩現象的な勝利を収めて選任されたが、彼の最初の動きは昔の政策ややり方を踏襲するということを暗示している。」

これが欧米の見方というものでしょう。鳩山政権は、反市場主義で守旧勢力の味方、小泉構造改革で日本をがんじがらめにしていた古い不合理なやり方をこわそうとしたのにそれに戻ることを目指す政権とみられているのです。

このままの論調がつづけばーそれは鳩山政権が公約を実現していくということですがー、日本に対する投資は減少し、市場から外国投資家の金は引き上げられ、日本経済はしぼまざるをえないこととなるでしょう。

日本のメディアも主要欧米メディアから新政権がどのようにみられているのか、もう少しちゃんと報道してほしいです。後になって、海外の懸念がましている、なんていわれても、国民は唖然としちゃいます。今の時点で、十分米国主要メディアは批判を開始していると伝えてください。それが新政権に現実的な思考を促すこと、そしてまちがった政策を実行することの歯止めになると思います。

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コメント

■【英国ブログ】日本の温室効果ガス削減目標25%に英国の見方は?-宇宙人外交は世界に通用するか?
こんにちは。イギリスのBBCのサイトにある環境問題のブログでは、今回の温室効果ガスの日本の野心的な目標をアメリカに対する挑戦状とみています。確かに、アメリカに対して注文をつけるべきです。なにしろ、国民一人あたりのCO2排出量は世界一だし、日本の倍です。アメリカが日本と同程度にしただけで、世界のCO2排出量削減目標は完全に達成できおつりがきます。鳩山さん、70年代のスタンフォードでOR(オペレーションズ・リサーチ)など分析技術を学んだ人です。80年代には、アメリカではMBA卒による分析麻痺が多くの企業に機能不全をもたらし、MBA排斥運動がおこりました。しかし、最近はその反省からMBAでは、コミュニケーション、チームワーク、各国の伝統文化などに力点を置くようになりました。鳩山さんはそうした教育を受ける機会がまったくなかったわけです。だから、「政治を科学する」などという言葉が出てて来るのだと思います。いずれにせよ、11月のオバマ来日によって、鳩山外交の実力がどの程度なのかうかがい知ることができると思います。詳細は是非私のブログをご覧になってください。

新政権に対する評価は、メディアの辛くあって然るべきと思います。

それより、メディアが、欧米の政権、ビジネス界の意向を、どれほど反映しているか、目を向けるべきは欧米だけか、と、素人ながら考えさせられます。

言い換えれば、一部、欧米メディアの論調が、日本が進むべき道を、親切にも、正しく指し示しているかは、若干疑問です。一般論ですが。。

また、逆に、鳩山政権、または近い立場のエコノミストは、政策に経済合理性があるならば、それを、対抗言論として、メッセージを発信して欲しいですね。一方的に、欧米の論調を、受け入れるのではなく。。

欧州メディアの論調はどうなんでしょうかね。
このへんの問題は欧と米でかなりスタンスに違いがでる話と思いますし、米メディアは日本に恫喝的な報道をすることがままありますので。。

Yutakaさん、一合格者さん、ポコさん

コメントをどうもありがとうございます。拝見して若干感じたことをちょっと書きます。

東証の上場株の外人保有率は6割を超えています。外人が引いた後の日本経済を考えると空恐ろしくなります。市場がどれくらい血液を日本経済に供給しているのか、市場から外人買いが減少するということがどういう事態をまねくのか認識も想像もできない政治家は失格です。

問題は、外国メディアが正しい方向を示しているかではなく、鳩山政権が反市場主義であると受け取られている限り、外国からの投資は冷えるというリスクの存在です。このリスクが顕在化する確立は新政権では高くなってきていないかというのが、大方の懸念でしょう。内需主導なんてことは何十年も言われていますが、過去、自民党政権でも成功したことはなく、民主党政権でこれでできるかは、彼等が公約を守るスタンスを貫く限り大いに疑問です。

外国メディアが正しくそれに従うべきとはさらさら思いませんし、余計なお世話も多いのですが、グローバル経済下では現実主義を徹底しなければ方向を誤るということを肝にめいじるべきだ、というのが私の考えです。

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