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2009年9月15日 (火)

リーマン・ショック後1年-自分の意見の検証と今の課題-

リーマンが破綻して1年となる本日、様々な記事がでておりますが、このブログでも私の意見を発信させていただきました。今日はそれをちょっと検証してみたいと思います。

昨年9月16日のリーマン・ブラザーズの破綻という記事では、ロンドンの報道があまりにリーマン破綻の恐るべき影響を報じていないことに驚き、米国政府が公的資金の注入をためらっていることに対して、公的資金注入しかありえないでしょ、と申し述べました。

9月18日にはAIGとリーマンはなんで取扱いがちがうのか-米当局の迷走-という記事をアップし、デリバティブ取引でリーマンのエクスポージャーは市場が耐えられるレベルと米国政府が読んだと思われるが、サブ・プライム危機が市場に与えている心理的影響を軽視している、と批判しました。

その後、二本記事で米国政府の不良債権買取案を批判し、最後は米国政府が金融安定化法案が議会で通過したことを機会に、米国金融安定化法成立で思う欧州と日本の対応という記事で、銀行の破綻を公的資金で救済するスキームを欠く金融安定化法は不完全と批判し、バブルのときの日本とリーマン・ショックに対する欧州の対応と米国の対比について、考えてみました。

その後は、批判したとおり、米国は公的資金投入に踏み切り、現在に至っているわけです。かなりの部分、自分の言っていたことがあたっていてよかったと思います。これは自分でもうれしい結果なのですが、実は、マーケットに近いところで働いていると投資銀行の多くの方々がそう思っていたということを、特に申し上げておきたいと思います。

一部の政治家や一部のジャーナリストは、しばしば、自分の思い込みで発言し勝ちですが、事象に近い人間のほうが事態をよりよく把握していることが多いということもあり、金融政策に関わる政治家・ジャーナリストは、よくマーケット・ウォッチャーの意見を聞いて現場の感覚はどうなのかに耳を傾けるべきでしょう。(なお投資銀行出身の民主党の大久保議員が主張している公開会社法案は、本日のTOSHI先生のブログでとりあげられていますが、大方のマーケットの声を無視したものと評価していいでしょうし、監査役制度を破壊しかねないものと考えております。詳細な私の評価については、私の記事をご覧下さい。)

金融危機のメカニズムと対応策について、本日のおおすぎブログであらたな銀行・証券規制が必要と主張する日経の記事が批判されています。私はおおすぎ先生の批判に賛成なので、詳細はおおすぎブログを読んでいただきたいのですが、一点だけ補足すると、財政・金融関係のジャーナリストの一部において、金融危機のメカニズムに対する理解がいまだに欠けていることに驚きます。

金融危機のメカニズムについては、金融危機の構造と新たな規制体制という記事で、池尾和人先生の分析をご紹介しております。池尾論文についてはデリバティブの専門家であるdbsbさんにお願いして、シャープな分析をしていただいております。(dbsbさん、ブログを停止されていますが、実に残念なことです。ぜひ、再開してください!)

池尾論文とdbsbさんの指摘は上記各ブログをぜひ読んでいただきたいですが、池尾論文の分析をよめば、規制上の手当てとして、
①エージェンシー問題のコントロールを目的としたレバレッジ規制
②報酬規制
③市場の上部構造の再構築を目的とした格付け会社規制および会計基準の確立
が必要というのは大変納得できる話であることがわかります。

ただ、今日の状況下で、米国住宅ローンを証券化したMSCBを米国政府が買い上げざるをえないほど機能がストップしているMSCB市場をどうするのか、デリバティブ取引の清算機関構想がどの程度機能回復に寄与するのか、などなど、一段と見えにくくなってきているように思います。難しくなってきました。

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