« 内部統制監査報告における不適正意見又は意見不表明と適時開示 | トップページ | 温暖化の影響を石垣島に見る »

2009年7月 2日 (木)

金融審議会スタディグループ報告書は重要だーその1

南の島に行く前に、ウェットスーツが入るかどうか心配になったので試したところ、どうやっても入りませんでした。( ̄Д ̄;;

今日は、金融審議会金融分科会「我が国金融・資本市場の国際化に関するスタディグループ」報告書について備忘的に書いておきたいと思います。社外監査役研究会のために熟読したのですが、この報告書はきわめて重要であり、今後、金融商品取引法や取引所ルールの改正があまたのごとくおきることの予告であると思います。

報告書は第一に「市場における資金調達等をめぐる問題」について、報告書は少数株主の利益等の利益を著しく損なうような市場における資金調達が後を絶たないとして、以下の通りの提言を行っています。このうち法定開示とは、金商法改正により開示リールを定めると原則的に解されます。

●新株発行への対応

  1. 第三者割当て増資一般
    ① 資金使途の詳細、割当予定先との資本関係、事業上の契約や取り決め、割当予定先による増資予定会社株式の保有状況や保有方針の詳細などの具体的情報の開示について、法定開示及び取引所ルールで対応する。
    ② 有利発行が疑われる第三者割当増資に、取引所ルールで監査役による意見表明と開示を求める。
  2. 大幅な稀釈化や支配権の移動を伴う大規模な第三者割当増資等への対応
    ① 取引所ルールによる取引所による審査
    ② 経営陣から独立した者による意見表明、株主総会決議などによる株主の意思確認などの適正手続確保、法定開示の確保
  3. MSCB等の発行
    ① 経済的にMSCBに類似したスキームに対するMSCBと同様の規制(適切な開示の確保・転換条件の適正化)
    ② 発行条件の合理性に関する取引所ルールによる開示および法定開示の拡充
  4. 法の執行面の充実
    ① FSA、SESC、取引所、証券業協会等の執行態勢の充実と連携の一層の強化
    ② 不正行為一般の禁止を定める金商法157条の積極的活用と同条違反を課徴金制裁の対象に加える。
    ③ 金商法192条の裁判所による禁止・停止命令の活用の検討

●現金を対価として行うスクウィーズ・アウトへの対応

  1. 株主の権利を不当に制限するおそれのあるものについて取引所の審査を行い、問題事案に対しては取引所による厳正な措置を行う。
  2. キャッシュアウトの予定やその具体的内容について取引所ルール及び法定による開示
  3. キャッシュアウトについて株式併合についての株主交付代金の多寡を争う会社法上の手続の検討

●グループ化

  1. 上場会社に係るコーポレート・ガバナンス原則が企業集団全体において実現されることが重要であることを取引所において明確化
  2. 親会社の経営に重要な影響を与える子会社が行う経営上の重要な行為やその経営状況に関して、当該子会社の経営陣の見解を親会社の見解と併せて開示
  3. 企業集団法制の整備の検討

●子会社上場

  1. 子会社上場のあり方について真剣に検討
  2. 今後も上場が認められるならば、子会社上場にあたって、親会社や京大会社などの出身でない社外取締役や監査役の選任を求めるなど、利益相反関係や親会社による支配の弊害を解消し少数株主の権利を保護するための実効性あるルールの整備を検討

●株式の持合い

  1. 持合い状況の一層の開示の促進、相互又は多角的な合意のもとでの持合いの一定の持ち合い状況の開示の制度化の検討
  2. 銀行等保有株式取得機構による株式等の取得の積極的活用

こうしてみると、子会社上場や株式の持合い等で「検討」という言葉が使われているところについては、さらなる具体的方策に関する議論がなされると思われますが、それを除いた他の部分だけ考えても、ちかじか(おそらく1年以内の)金商法や内閣府令の大幅な改正及び取引所ルールの大幅な改正が予想されます。会社法については法務省の動きのほうが遅いのですぐにはできませんが、内閣府令レベルで対応できてしまう問題は金融庁がなるべく早い改正を目指すでしょう。

これはやはり大号砲であると思います。私が特に興味部会のは第三者割当について具体的な対策をすでに提示している点です。この点は証券取引等監視委員会でも、最近、問題が多い第三者割当増資案件の増加(その多くは増資が実行されない)について、懸念を表明しているところであって、資本市場を悪用・濫用し、ついには上場会社そのものを箱として利用して投資家から多くの金を吸い上げていく反社勢力に対する資本市場防衛策の強化であるといえる点です。いまや、日本の市場の病理であり、これを解決しなければ、株式市場そのものがますますだめになっていくことでしょう。

報告書の「ガバナンス機構をめぐる問題」、「投資者による議決権行使等をめぐる問題」、「上場会社等のコーポレート・ガバナンスに係る規律付けの手法」についてはまた機会をあらためて考えてみたいと思います。

« 内部統制監査報告における不適正意見又は意見不表明と適時開示 | トップページ | 温暖化の影響を石垣島に見る »

会社法」カテゴリの記事

内部統制・コンプライアンス」カテゴリの記事

金融商品取引法」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1098026/30354706

この記事へのトラックバック一覧です: 金融審議会スタディグループ報告書は重要だーその1:

« 内部統制監査報告における不適正意見又は意見不表明と適時開示 | トップページ | 温暖化の影響を石垣島に見る »