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2009年7月14日 (火)

内部統制報告書の提出状況

金融庁が「平成21年3月決算会社に係る内部統制報告書の提出状況について」という記事で、内部統制報告書の提出状況、評価結果の記載状況について集計結果を発表しています。うかつにも本年7月7日に発表されていたものを見逃しておりました。以下は、時期に遅れたフラッシュ・レポートです。

提出状況ですが、内部統制報告書提出義務のある2,656社中、報告書を提出したのは2,653社とあるので、何と3社が内部統制報告書不提出です。どこの会社なのかは書いていません。たんなる遅延なのでしょうか。

また、内部統制報告書の提出義務がない会社であっても、17社が任意に内部統制報告書を提出しています。

内部統制報告制度について否定的な批判を述べているネットの論客たちは、任意提出した会社についてどう思われているのでしょうか。この方々からすれば、コストをかけてまでなにをものずきな、ということになるのでしょうか。

それはともかくとして、17社が任意提出したということについて、その動機には非常に興味がありますね。

評価結果については、内部統制を有効としたのは2,605社、重要な欠陥があり内部統制は有効でないとしたのは56社、内部統制の評価結果を表明できないとしたのが9社です。重要な欠陥を報告した56社中、事業年度の末日後に重要な欠陥の是正措置の内容及び内部統制報告書提出日までに是正されたと記載した会社が11社あったそうです。

また56社の内部統制報告書に対する内部統制監査報告書における監査人の意見は、55社が無限定適正意見、1社が意見不表明であったと報告されています。意見不表明があったという会社の会計監査人の報告の中身に興味があります。

また56社の財務諸表監査の意見は、54社が無限定適正意見、1社が限定適正意見、1社が意見不表明であったということです。

重要な欠陥を報告したのは全体の2.1%、意見不表明が0.3%に過ぎなかったのは、大方の予想を下回る数字だったわけですが、重要な欠陥を報告した会社、意見不表明の会社の財務諸表監査報告や監査役監査報告をおってみたいと考えております。そのことにより、今、話題になっている開示の統一と各監査のあり方がはっきりみえてくるのではないかと考えている次第です。

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コメント

中堅企業の内部統制担当者のtonchanです。
 ご無沙汰しております。実は当社は5月決算企業なので、今が内部統制報告書(ドラフト)の作成が終了して少しほっとしたところです。
 個人的には、比率としてはやはり少ないというのが実感です。しかし、この状況に持ってくる過程が開示されると面白いのですが、それはできないことでしょうか?
 さて、担当者としてはやはり2年目以降が非常に気になります。企業としては規模に見合った内部統制(つまりコスト削減)を目指していくでしょうし、監査法人もある程度はそれに応えてくれるとは思います。しかし、現状の景気からすると決算財務諸表の信頼性リスクは大きくなることは有っても小さくはならないと思います。
その意味で来期の「内部統制報告書」の状況こそが、日本の内部統制報告制度の行く末を決めるように思っております。

いつも先生のブログを楽しみにしております。できれば、是非一度お会いしていろいろと教えていただきたいと思います。

tonchanさん

ご無沙汰しております。確かに今のような経済状況は、虚偽表示記載のリスクが高まる時期かもしれませんね。しかし初年度でも重要な欠陥を報告した会社では、新会計基準の適用を誤ったことで内部統制が有効と判断できなかったところがありました。来年も新会計基準の導入が予定されており、事業用不動産の定期借地権で建物の収去が予定されている場合は、収去費用を見積もって認識するという、難しいものがあるようです。このあたりも注意が怠れないところですね。

tomo先生
 tonchanです。

 ご指摘の件は資産除去債務についてですね。これについては、以下の問題を含むように考えております。
1.先生の指摘にも有ったとおり、除去債務自体の認識の問題です。
2.資産除去債務は減価償却として処理されます。現状の減価償却は税務上の耐用年数をベースに行われている場合が多いですが、資産除去債務の導入により税務上の耐用年数とは異なる会計上の耐用年数による償却を導入する企業が増加する可能性があります。
3.資産除去債務の金額の認識は変更される可能性があり、マイナスの償却が発生することも起こりえるということです。
 以上のような問題を認識して内部統制を整備し、評価することが私のような立場の人間に求められているという事になります。その意味で内部統制を維持していく事自体が大きな課題かもしれません。
 是非、今後共によろしくお願いします。

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