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2009年6月18日 (木)

内部統制報告書の記載内容の検討備忘録(1)

内部統制報告書がぞくぞくと提出されていますが、その中で気づいた点をしばらく備忘的に記載します。2009年6月17日現在、重要な欠陥を報告した会社は35社中ゼロです。

1.株式会社セゾン情報システムズ(2009年6月12日提出)

評価の範囲について、「財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性の視点から必要な範囲について行い、この評価範囲は、財務報告に対する金額的及び質的影響の重要性を考慮して合理的に決定しました。」とだけ述べて、どのような事業拠点、勘定、業務プロセスが対象になっているのか、質的影響を考慮した付加的な評価範囲は何かをまったく明らかにしていない。内部統制府令及び内部統制府令4条、第1号様式の記載上の注意及び内部統制ガイドライン4-3及び4-4には明示的には反しないが、これでいいものだろうか。

2.日本高純度化学株式会社(2009年6月17日提出)

「財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性は、金額的及び質的影響の重要性を考慮して決定しており、会社を対象として行った全社的な内部統制の評価結果を踏まえ、業務プロセスに係る内部統制の評価範囲を合理的に決定いたしました。」と述べ、1と同様の問題がある。

3.株式会社ハマキョウレックス(2009年6月17日提出) 

評価範囲のほかに、評価方法にやや踏み込んで言及した例である。

「全社的な内部統制及び決算・財務報告に係る業務プロセスのうち全社的な観点から評価することが適切と考えられるものに関しましては、「財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準」に示された「全社的な内部統制に関する評価項目」に基づき評価項目毎に関係者への質問、記録の検証等の手続を実施することにより、内部統制の整備及び運用状況並びにその状況が業務プロセスに係る内部統制に及ぼす影響を評価いたしました。

また、業務プロセスに係る内部統制の評価手続は、評価範囲における事業拠点の業務プロセスを分析した上で、財務報告の信頼性に重要な影響を及ぼす統制上の要点を選定し、関連文書の閲覧、内部統制に関係する担当者への質問、業務の観察、内部統制実施記録の検証を実施することにより、内部統制の整備状況及び運用状況を評価いたしました。

なお、ITへの対応についても関連文書の閲覧、内部統制に関係する担当者への質問、業務の観察、内部統制実施記録の検証を実施いたしました。」

4.株式会社田谷(2009年6月17日提出)

1と同様の問題がある。内部統制ガイドライン4-4-2を少し変えてそのまま記載している例である。

「財務報告に係る内部統制の評価の範囲は、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性の観点から、必要な範囲を財務報告に係る内部統制の評価範囲とした。当該評価範囲を決定した手順、方法等としては、財務報告に対する金額的及び質的影響の重要性を考慮し、全社的な内部統制の評価結果を踏まえ、業務プロセスに係る内部統制の評価範囲を合理的に決定し、整備及び運用状況の評価を行った。なお、重要な虚偽記載の発生可能性が高く、見積りや予測を伴う重要な勘定科目に係る業務プロセスやリスクが大きい取引を行っている事業又は業務に係る業務プロセスを財務報告への影響を勘案して重要性の大きい業務プロセスとして評価対象に追加している。

5.東京リース株式会社(2009年6月17日提出)

財務報告に係る内部統制の有効性の評価に重要な影響を及ぼす後発事象を付記事項に記載した例。第1号様式の記載上の注意(9)に忠実。

「当社は、平成21年2月25日開催の臨時株主総会における合併契約書の承認決議により、平成21年4月1日を合併期日としてセンチュリー・リーシング・システム株式会社と合併し、会社名を「東京センチュリーリース株式会社」、英訳名を「Century Tokyo Leasing Corporation」に変更している。

この合併により事業年度末日後、大幅な組織変更を行っており、今後システムの更改なども予定されているため、翌期以降の当社の財務報告に係る内部統制の有効性の評価に重要な影響を及ぼす可能性がある。」

以上、引き続きレポートします。

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