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2009年2月12日 (木)

DIP型会社更生申立て、早くも第3号で、ふと思うこと

NASDAQ上場会社のフラッシュメモリ製造会社Spansion Inc.の日本法人Spansion Japan株式会社が会社更生法適用の申請を東京地裁民事第8部に行いました。Spansion Japanのリリースをみると保全管理命令が発せられていないので、DIP型会社更生の申請であると思われます。負債総額は約741億円、申立代理人は渡邊光誠先生で、これも倒産法のベテランで、大体、DIP型会社更生申立代理人は私の面識のある方々ばかりです。詳細はこちらをご覧下さい。

民事再生ではなく、どんどんDIP型会社更生が申し立てられていくところをみると、これからの大型倒産はDIP型会社更生が主流になるのではないかと思われるほどの勢いですね。

強力な手続である会社更生手続下で管財人的地位にあたる経営者の適格性については、すでに前回のエントリーで考えを述べておりますが、さらに手続開始後の更生計画の策定については、どのように透明性、公正性を確保していくのでしょうか。

DIP型における経営者の地位は、全債権者のために公正な取扱いを行う義務があるとはいえ、倒産会社の経営陣が残るわけですから、倒産会社と更生債権者及び更生担保権者、あるいは債権者間の利益が鋭く対立するような状況がでてきた場合には、利益調整が旧経営陣ではうまくできないという状況は生じないでしょうか。経営陣は、倒産にいたるまで主要債権者と必ずしも友好的な関係を維持してきたわけではないでしょうから、首尾よく4要件を満たして開始決定がでたとしても、利害の調整について、経営陣と債務者代理人が債権者と交渉してうまくまとめていけるかどうか、限界もありそうな気がします。。。。。また、利害が対立していて非常に調整が難しいときに、監督委員兼調査委員はどの程度調整に動けるのでしょうか。実務的に大変難しいところであります。

管財人がどれほど重要なのかについて、会社更生の大ベテラン、清水直先生はその著作「プロが語る企業再生ドラマ」でこう述べられております。

「如何にして企業を再生させるかについての経営的・会計的素養も必要とされるが、何よりも大切なことは、企業再生に対する熱意と創意工夫する姿勢、そして関係者をして喜んで協力させるシステムを如何に構築するかについて、人間味をもって考えることである。」

「企業再生の成否は、企業再生の現場で陣頭指揮をとって人間集団を動かし得る人物を、企業再生の執行者として選任し得るか否かにかかっている。会社更生では管財人人事が全てを決定するといっても過言ではない。ところが、企業を動かして利益をあげつつ、あらゆる角度から見て、公正・衡平な措置を手際よく行い、複雑に絡み合った利害関係を調整していくということは、言うは易く、行うは難しの例で、これをこなし得る人材はそうそういるものではない。」

清水先生のこの著作には私も大感激いたしましたが、会社更生手続の第一人者の意見であるだけに、DIP型会社更生手続で従来の経営陣の能力をどのようにみていくのか、また、かりに監督委員兼調査委員が経営陣についてOKの意見を提出し、裁判所が開始決定を出したとしても、その後の調整過程で利益対立状況がでてきたときはどうなるのか、など疑問がつきないところであります。

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著者:清水 直
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