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2009年2月 8日 (日)

DIP型会社更生第2号の日本綜合地所の会社更生の申立

2月5日に東京地裁に会社更生手続開始の開始の申立をした日本綜合地所(株)は、その翌日の日経新聞朝刊の報道によると、DIP型会社更生手続の適用をめざすとのことです。

同社の「会社更生手続開始申立てに関するお知らせ」というリリースには、ひとことも触れられていないのですが、会社のホームページにアップされている監督命令兼調査命令をみますと、東京地裁民事第8部がDIP型を目指すときに発する雛形とほぼ同じ内容になっており、保全管理命令が発せられていないので、先のエントリーDIP型会社更生手続の運用の導入発表で解説した現経営陣がそのまま経営に残って再建をめざす型であることがわかります。

申立代理人の澤野正明先生は倒産法のベテラン、監督委員兼調査委員は倒産法の大御所である多比羅誠先生ですから、これまたDIP型会社更生手続第2号の布陣としてふさわしい顔ぶれです。ついこの間、DIP型会社更生手続の解説をされた(DIP型会社更生手続の講演会開催されるを参照)民事第8部の難波孝一判事は、論文発表後いろいろ質問がくるが、その前に事件をもってきてやっていこうと呼びかけられておりましたので、短期間に第2号案件が出てきたことには喜ばれているのではないかと思います(一般に、倒産実務家は、倒産が出ること自体を喜んでいるわけではないことをお断りしておきます。ただ実務家として、新たな手続構造で再建をするというチャレンジに燃え上がっているわけで、この点ご理解をいただければと思います。(^-^;)

日本綜合地所が果たしてDIP型会社更生でいけるかどうかは、開始4要件(前の解説を参照してください)が満たされているかどうかについての調査委員の調査報告をまってから決定されます。調査委員がgoといえば、ほぼまちがいなく開始決定がでるでしょう。調査命令によると、調査報告書の期限は平成21年2月19日までとなっていますから、申立の日から2週間で調査委員は調査して報告を上げなさいということです。発表されている難波論文では、標準的処理期間として事前相談に1~2週間、調査命令・監督命令及び弁済禁止の保全処分から開始決定まで3週間、更生計画案の提出まで10ヶ月となっており、この標準的処理期間をみると、申立日から開始決定まで3週間を予定しているので、2週間の調査期間は標準処理期間どおりといえるでしょう。

開始4要件のうちの第一は「現経営陣に不正行為等の違法な経営責任の問題がないこと」が必要とされていますが、調査命令兼監督命令をみますと、5(8)に代表取締役の西丸誠氏が管財人の職務を行うに適したものか、という調査項目がでてきますので、この調査は西丸氏について重点的に行われることがわかります。DIP型会社更生の際に調査命令兼監督命令の雛型では、5(9)に他の取締役が管財人代理の職務を行うに適したものであるかどうか、というのが入っておりますので、本件では、管財人代理の職務を行うべき取締役はないとみていいのであろうと思います。

さて調査ですが、法律違反の有無だけでなく、道義的な責任についてまで調査しているという話が研究会ではありました。そこで気がかりなのが、日本綜合地所の場合、バブル崩壊の兆しが見えていたのに強気で在庫を増やし、2008年度は不動産の市場動向を見誤って強気の販売計画を立て倒産に陥ったという傾向が強いという批判です(日経CNBCのMarket Eyeの2009年2月6日の「最高益更新」企業の脆さ」参照)。

もし、経営陣が完全に市場動向とは逆張りをしたときに、当該経営陣は上記の要件を満たせるのでしょうか。これは難問であります。情報分析もしないでそんな判断をしたものはだめでしょうが、市場動向判断は予測に過ぎず誤るということも大いにあるという考え方もあるでしょうし、経営判断には広い裁量が認められるべきだという考え方もあるでしょう。

ただ、私が指摘しておきたいのは、経営判断という裁量が認められるのは、あくまで、取締役が必要とされる情報をちゃんと吸い上げて、それを通常の注意を払って分析しているということが前提であるということで、それに疑いがあると、直ちに取締役の善管注意義務違反であるとはいえないものの、上記要件を満たさないという判断があってもしかるべきである、ということです。しかし、そのような疑いが仮にあったとしても、それのみをもって全面的に失格の理由とするのもこれまた早計のような気がします。例えば、それまで成功ストーリーを積み上げてきたのに、1回状況を見誤ってしまうというのは、経営者なら誰しもありそうなことです。したがって上記要件はやはり、本件申立人の名前にちなんで「綜合」判断となりそうです。

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