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2009年1月 9日 (金)

文科省全国の大学に資産運用で通知

皆様、遅まきながら新年明けましておめでとうございます。今年も当ブログをよろしくお願いします。

さて、本年最初のブログは、以前取り上げた大学の投資行動に関する内部統制の問題です。

『文部科学省の学校法人運営調査委員会は6日、「(学校法人は)資産運用の規定を整備し、意思決定と執行管理の適正化を図ることが重要」などとする意見書をまとめた。文科省は同日、私立の大学と短大、高等専門学校を運営する全学校法人に意見書の内容を通知し、現状の点検を求めた』、と報道されました。以下のリンクをご覧下さい。

http://www3.nhk.or.jp/news/k10013401081000.html

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090106-00000097-mai-soci

文科省のホームページでは、当該意見書を発見することができなかったのですが、報道によれば、同委員会はどうも聞き取り調査をしたようですね。『意思決定などに問題のある法人が散見されたとして、▽安全性の重視など資産運用の基本方針▽理事会や理事らの権限と責任▽保有できる有価証券や可能な取引の内容▽運用限度額--などを明確にするよう促した。』(毎日新聞)とされています。意見書の指摘はイロハのイのようなもので、これができていなかったところが多いというほうが驚きです。学生はおこりますよ。学生の親も、大学に寄付しているOBも怒りますよ。全国の私立大学の理事会は、しっかりと受け止めてほしいですね。

とかくデリバティブ取引というと、リスクを明確にしない投資銀行が詐欺まがいだと非難されます。もちろんリスクをちゃんと説明しないで販売しているならば、それ自体が違法で場合によっては犯罪行為になりかねず、問題であることは明白です。しかし、買う側もそれなりの能力も調査もなく取引をしてしまうことに対しては、マスコミも含めてずいぶん社会的な評価が甘いとずっと感じております。裁判をやれば損害額の5割から9割近くまで過失相殺が認められることもしばしば。個人についてはちょっとおくとしても(この点、書きすぎるとブログが炎上するおそれがあります(笑))、法人については、取引をする側の問題、すなわちリスク管理体制をもっとちゃんと議論すべきでしょう。その意味で、きわめて適切な意見書の通知であると思いますし、事業法人でもちゃんと自社の投資方針とリスク管理について見直すべきです。一部の上場企業の有価証券投資損が数百億単位という話を聞くと、ほんとに足元固めようよ、といいたくなります。

この点、格付けに依拠して、仕組み債であろうが普通の社債であろうがトリプルAならばそのリスクを十分検討することなく投資するという行動が、あまりにも目につくように思います。オンバランス商品であるクレジットリンク債やシンセシックCDOを購入することによって、どのようなリスクをとっているのかさえ答えられないレベルの投資家(しかもその多くが適格機関投資家であったり特定投資家であったりする)が、格付けのみで購入を決めている事態が多くみられます。この状態は、金融イレタラシーと言ってよく、困りものです。

この点に関連して、金融審議会金融分科会第一部会は、格付機関の規制について相当回数の議論を行い、その規制の概要をまとめようとしています。また、プロアマ移行制度についても、移行後の取扱いについて検討すべき課題としての論点出しがされています。↓

http://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/dai1/gijiroku/20081211.html

ここで議論されていることはいずれも興味深いことばかりで、別立てで論じたいと思いますが、私は長い間議論されているのに明確に国の方策がうちだされない金融教育の重要性を再度認識して、いいかげんに政策として打ち出してもらいたいと思っています。じいさま、ばあさまが被害にあっているのにきれいごとをいうんじゃないと、消費者サイドにたって活躍しておられるS先生になじられたことがありますが、じいさま、ばあさまも昔は若かったはず、若いうちに金融商品のリスクを理解するような教育をうければ、今の被害の7割が将来防止できるとすれば、そちらのほうが健全でバランスがとれているでしょう。今の状態は、業者側に重い負担を課し、コストアップするだけでなく、実務が混乱したり、規制が厳しいという評価を外国からされて敬遠され、他方、投資家、特に個人投資家あるいは個人投資家予備軍には何の統一した教育もせず、といういびつな方向に向かっている気がしてなりません。

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