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2009年1月10日 (土)

早くも出たDIP型会社更生の申立て-クリードが破綻

年末にご紹介した「DIP型会社更生手続」の適用を目指す第1号の案件が、はやくも出ました。

不動産ファンド運用・不動産投資のクリードが1月9日に東京地裁に会社更生法の適用を申立てましたが、報道によればDIP型会社更生手続による再建を目指しているとのことです。↓

http://www.nikkei.co.jp/news/past/honbun.cfm?i=AT1D0909H%2009012009&g=S1&d=20090109

http://www.tdb.co.jp/tosan/syosai/2883.html

申立代理人は片山英二先生、監督委員及び調査委員は瀬戸秀雄先生という倒産処理の大ベテランですから、第1号のケースとして先例を作っていただくのにふさわしい陣容であるといえましょう。

ただ、DIP型会社更生について東京地裁民事第8部の判事さんたちが先の論文で示している更生計画認可まで6ヶ月、更生計画終結まで3年という標準処理期間で処理できるかどうかについては、これが現実の運用でどうなるかが注目されますね。

というのも、商事法務賀詞交換会で今回のDIP型会社更生について裁判所と意見交換をされた大先生とこの件でお話をさせていただいたところ、意見交換当時は、今日のような金融情勢となるとは想定していなかったので、スポンサーが見出すことが難しくなったら、当然処理期間はのびるということになるでしょう、ということだったからです。今の経済情勢と論文執筆時の判事さんたちの認識の差があったようなので、さしものDIP型会社更生手続も、ファイナンスをつけてくれる有力スポンサーがいればこそ、その実効性を発揮できるという前提なのでしょう。この前提条件に変化があったときはどうなるかは、未知数というところです。

この点、事業再生ファンドでリスクをとってがんばってくれるところがどれくらいあるか、しかも不動産ファンド事業という今一番難しいものを取り扱うだけにどうなるか、という点が気にかかります。投資銀行がすべて銀行子会社になったので、レバレッジを40倍もきかせるようなことはできなくなっていますし。勇気あるところが出てくれることを祈りたいですね。

脱線しますが、そういえば葉玉先生がブログで商事法務の賀詞交換会のことを書かれていましたが、この賀詞交換会はいろいろな方にお会いできて面白かったです。不況のせいか企業の参加は2割減、弁護士の参加は2割増ということだったようで、これもまた世の中の動きを反映した動きといえるでしょう。一人5000円の参加費も削るというわけですから。リーガル・フィーについても厳しくなることは覚悟しなければなりませんね。

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コメント

初めて書き込みさせていただきます。クリードの個人株主です。今回のDIP型会社更生について調べていて先生のホームページにたどり着きました。個人的な関心は、上場を維持しながら会社更生が可能かどうかということにあります。先生の記載を読ませいただいていると、昨年末に今回の改正手続きが可能となり、年明けすぐにクリードが会社更生手続きに入り、その方法が「DIP」であるとのことで、いろいろな疑問がわいてきました。前提は、
(1)クリードの公開情報には、「DIP」型の記載がないのに、日経は報道していました。このため、クリードに電話で確認するとその意向で進めているとのことでした。
(2)先生の備忘録で、更生手続きには、倒産法関係のベテランの弁護士が担当しているとのことです。
(3)日経と先生のいずれのコメントにも日本初であるとあります。

クリードは公開されている情報からみると昨年の11月初めから事業立て直しのコメントを発表しており、その前から自己資本率の改善を進めていたようです。そして、大株主は、イチゴアセットであり、株の4割が投資ファンドを中心とした大株主の所有となっています。また、イチゴアセットがクリード投資法人の筆頭株主でもあり、さらに最近クリードのグループ会社を100%買取りました。

 私の想像として、今回の手続きは、すべてのステークホルダーを視野に入れて早く会社更生が実現するよう、各所との関係を調整したうえでタイミング良く実施に入ったように感じられてしょうがありません。まして、法曹界としては、「DIP」型の更生手続きの実現を目指して全力を尽くすことになるようにも思われます。すでに更生計画の全貌が立案されていて、大口の債権債務者、大株主、監督官庁にはのある程度のコンセンサスが出来上がってるように感じています。

 そこで、上場維持を進めながら、今回の会社更生を実現して欲しいという希望から次の疑問点が生じます。
(1)東証は、すでに2月上場廃止を発表していますので、これを差止めるにはどのような手続きが考えられるのか。可能なのか。
(2)更生計画が既にできているとすると、更生開始を早めに実現するために裁判所から更生開始の仮決定を受けることができるのか。
(3)今後の進捗は、どのように進められると考えられるか?

初めて、記載させて頂くのに長文となってしまいました。申し訳ありません。もし、よろしければご指導いただきたく、お願いいたします。

 投稿をありがとうございます。
 まず、お断りしておきたいのは、個別案件について本ブログ上で助言をすることはしていないということです。それは当ブログの目的ではありませんし、弁護士倫理上、そのようなことをすると依頼関係が生じるおそれがあり、そのようなリスクを生じさせることは、所属事務所との関係でもできませんので、ご了解下さい。
 ただ、一般論として申し上げれば、東証の上場廃止決定を株主が争う方法はないと思いますし、また会社更生法上仮決定という制度はありません。また手続のながれについては紹介した論文に進行表がのっていますので、それをご覧下さい。
 さらに一言申し上げると、大口債権者と交渉して再建計画について合意した上で申立をするといういわゆるプレ・パッケージ型は珍しくなく、本件がそうだとしてもまったく不思議ではありません。むしろ再建を迅速にするめるためには、そのような方法は望ましいものと考えられています。株主は経営リスクをとっており、まっさきに有限責任のもとで犠牲になることが会社というシステムの前提となっています。だから100%減資で責任をとることは、会社更生では普通におこります。それだからこそ、有価証券報告書の信頼性が確保され、投資家が経営リスクを十分吟味して投資できるようになっていなければなりません。こういったところに私は大きな関心をもっておりますので、今後もよろしくお願いします。

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