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2008年12月 6日 (土)

子会社・関連会社の内部統制の「重要な欠陥」と親会社の評価(2)

ずいぶんと時間がたってしまいましたが、前回の続きの原稿がずっとドラフトで眠っていたので、掘り起こしてみました。こんどは関連会社のケースを検討しようとしているわけですが、自分でもわからないことだらけで、むしろ皆様のお知恵を拝借できればと思います。

関連会社とは連結財務諸表規則に定義されていますが、要約すれば、以下の要件を満たすと関連会社となります。

① その会社の議決権の百分の二十以上を所有している場合、

②その会社の議決権の百分の十五以上、百分の二十未満を所有している場合であって、かつ、(イ)役員等を派遣して、その者がその会社の財務及び営業又は事業の方針の決定に関して影響を与えることができる役職(代表取締役、取締役又はこれらに準ずる役職)に就任していること、(ロ)その会社に対して重要な融資を行つていること、(ハ)その会社に対して重要な技術を提供していること、(二)その会社との間に重要な販売、仕入れその他の営業上又は事業上の取引があること、(ホ)その会社等の財務及び営業又は事業の方針の決定に対して重要な影響を与えることができることが推測される事実が存在すること、のいずれかに該当する場合

③自己の計算において所有しているその会社の議決権と、出資、人事、資金、技術、取引等において緊密な関係があることにより自己の意思と同一の内容の議決権を行使すると認められる者及び自己の意思と同一の内容の議決権を行使することに同意している者が所有している議決権とを合わせた場合(自己の計算において議決権を所有していない場合を含む。)にその会社等の議決権の百分の二十以上を占めているときであつて、かつ、②の(イ)から(ホ)までに掲げるいずれかの要件に該当する場合

関連会社の定義はよく読む機会がないですが、こうやって見ると結構広いですね。このなかから重要な拠点として対象とされる関連会社の選択をするわけですが、その方法については、Q&A問5に解説があります。要は財務報告に重要な影響をあたえるような場合、たとえばその関連会社との取引がかなり大きくその取引の会計処理が財務報告に重要な影響を与えるときは対象にするということです。

関連会社の内部統制の評価について、Q&Aの問21は、「全社的な内部統制の評価を中心として、当該会社への質問状の送付、聞き取り、あるいは当該関連会社で作成している報告等の閲覧等適切な方法により評価を行うとしている(実施基準II2(1)①ロ)。また当該関連会社の規模、業務内容に鑑み、当該関連会社における虚偽記載のリスクが大きい場合には、当該関連会社における重要性の大きい業務プロセスにかかる内部統制の評価も必要となるときもありうる。」としています。

たとえば循環取引が多発している業界について、売上の実在性、在庫管理の業務プロセスについて関連会社の内部統制を評価対象にするということは、たいへん重要なんだろうなと直感的に思います。 関連会社の規定のしかたをみていると、実はここを意図的に狙って書いているという感じがします。関連会社との取引の売上を水増しする、前倒しする、循環取引をする、というような事象は過去たくさんおきていますし。

しかし、関連会社が上場している場合にはもっと話がややこしくなるのではないでしょうか。上場している関連会社ならば、それ自体が内部統制報告を提出しなければなりませんから、その内部統制報告をもらうということになるのでしょうが、たとえば双方の会社が3月末日が評価期日である場合には、関連会社の内部統制報告書はまだできあがっておらず、関連会社に内部統制報告書のドラフトでいいから見せてください、評価について問題となったところを教えてください、といっても教えてくれるでしょうか。子会社でもない関連会社が、そうそういうことを聞いてくれるとは素直に思えません。

もし見れないとなると、自ら関連会社を評価するということになりますが、そんなことは実務的に不可能でしょう。そうすると、ともかく日頃から関連会社と内部統制構築評価について情報交換をしておくということになるのでしょうか。

しかし、関連会社が、「わが社の不備はここ、重要な欠陥はここ」、なんていう未公開情報を出してくれるとも思えませんし、万一、財務報告の作成過程に重要な欠陥があったりすれば、それはインサイダー情報にもなりかねないわけですから、そういうケースでは情報交換も無理ですね。情報をだしてくれるならば、秘密保持契約を結ぶのは無論、チャイニーズウォールで内部統制評価部門を完全に囲ってしまうという方法も考えれます。自社の有価証券売買部門や他の者には情報が伝達されないので、たまたま関連会社の株券の売買を行ってもインサイダー取引に該当しないようにするという工夫は必須です。

情報交換に応じてくれる関連会社が、重要な欠陥の除去に取り組んでおり、内部統制報告について期末には重要な欠陥があったけれど提出日までに不備くらいにおとす、あるいは完全に除去する作業を行っている場合には、内部統制報告も最後の瞬間まで確定したものが出てこないことになりますね。これをまっていては、関連会社の評価などとても間に合わないことになりかねません。

こうしてみてくると、上場会社である関連会社の内部統制の評価そのものを認識するのがすこぶる難しいと思われますが、皆さん、どう工夫されているんでしょうか?

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