子会社・関連会社の内部統制の「重要な欠陥」と親会社の評価(1)
内部統制の「重要な欠陥」については、全社的な内部統制、決算・財務報告の業務プロセス、それ以外の業務プロセスのそれぞれについて評価するということになっていますが、子会社や関連会社の内部統制について「重要な欠陥」があると判断された場合に、親会社の内部統制にも重要な欠陥があることになるかという、ちょっと難しい問題があります。長くなるトピックですが。。。。。
まず、子会社について考えてみましょう。全社的な内部統制は、親会社を中心として連結ベースで整備し運用するということなので、企業集団全体を対象として評価の対象とするのが原則ですが、「内部統制報告制度に関するQ&A」問31では、実施基準II3(2)①の全社的な内部統制の形態は企業のおかれた環境や事業の特性等によってさまざまであり、企業ごとに適した内部統制を整備及び運用すべきだという考えを引いて、全社的な内部統制について親会社と差異のある取扱いを行うことも可能であるとしています。
問31の質問は、人材や組織の面で親会社ほど整っているわけではない子会社について全社的内部統制の「対応」に差が出てもよいかというものです。答えは差があっていいということなので、子会社の全社的内部統制のうち、少なくとも人材やリスク対応の組織について親会社ほどのレベルで整備できなくても認めるということなのでしょうか。
実施基準では、全社的内部統制の評価項目として42項目が例示されておりますが、たとえば統制環境の評価項目の中の「経営者は、信頼性のある財務報告の作成を支えるのに必要な能力を識別し、所要の能力を有する人材を確保・配置しているか」という項目の後段部分は「子会社の人材確保までは親と同じ基準で行うのは難しいので親会社の要員より能力が若干落ちてもやむをえない」という対応は許容されることになるでしょう。しかし、前段の「信頼性のある財務報告の作成を支えるのに必要な能力を識別し」という部分については変わらないと思われます。
こう考えると、42項目のそれぞれについて、何が違ってもいいのかをよく考えなければならないでしょう。ですからQ&A問31の回答は、あいまいすぎるように思います。
考え方としては、「親会社のような人材の確保と組織の確立は無理なのだから、できる範囲でやってください。子会社の規程類は親会社ほど整っていなくてもいいけれどある程度はないとだめだし、人材の知識経験は不足していても最低限のことはできる人はそろえてほしいし、また、組織は小さくてかつ兼任もやむをえないけど、期待される機能は果たせる程度にしてください。経営陣はそういう事情を考えながらも親会社の内部監査などを使ってうまくいっているかどうか意識してください。」、ということなのでしょう。
これは程度問題で、一定の基準など作りようがありません。各自が、自分の評価を説明できる準備をするしかないです。でも、こういう説明は金融業では金融庁相手にしょっちゅうやっていることなので、事業会社でできないというわけではないと思いますので、あまり悲観的にならずに(笑)。
また、実施基準は子会社の事業の特性にかんがみて、その子会社のみを対象とする全社的な内部統制の評価を行うことについて解説しています。
業務の性質によって全社的な内部統制と業務プロセスに係る内部統制のどちらに重点をおくかが異なるとして、組織構造が相対的に簡素ならば全社的な内部統制の重要性が高くなることがあり、他方、社内の規定や方針、手続に準拠して行う業務の割合が高い子会社の場合は業務プロセスに係る内部統制が相対的に重要になるといっています。そして、その例として多店舗に展開する小売販売業務をあげています。うまい例ですね。
この例はわかりやすいのですが、42項目との関連で具体的に示してもらいたいですね。そうするともっと分かりやすくなるのですが。
全社的内部統制の評価は難しいと感じていますが、子会社の全社的内部統制評価はもっと難しく、ましてやそれが「重要な欠陥がある」と判断されると、親会社の内部統制にどう影響するかはもっと頭が痛いですね。
結局は、その子会社のグループにおける位置づけなどを考慮して、グループ全体からみて影響が少なければ親会社の内部統制評価には大した影響はないとすべきなのではないかと思います。
これに対して決算・財務報告に係る業務プロセスについては、親会社と子会社で評価基準を違えなければならない要素はあまりないでしょう。その他の業務プロセスについては、子会社の業務プロセスは影響度の大きさをみて評価対象となっているので、統制上の要点についての統制目標について実現できるかどうかという点や虚偽表示の発生可能性という点については、親会社と視線を変えず評価することになると思います。
今日はこの辺で失礼します。
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